63 ページ14
.
「Aちゃん、」
宮田はまだ声はガサガサ。
「…気をつけるんだよ」
『……』
「忘れ物ない？怪我しないでね。ご飯も食べてね。よく寝てね」
『……』
「危ないことしないでね。無事で居てね。何かあったら連絡するんだよ。気をつけ」
『宮田、うるさい』
ううって泣き始めた。
「…Aちゃん帰ってきてね。待ってるよ。俺らは仲間だからね」
『分かった分かった』
「…Aちゃん、」
「いってらっしゃい」
『…うん、じゃあね』
バタンと天井の扉を閉める。中継機を押しながら匍匐前進をする。真っ暗だし埃っぽいし、蜘蛛の巣も…幸先悪いよね。
『…っおも、』
壁に行きつき、頭上を見ると鍵らしきものが。
回して押すけど、全く開かない。錆びついてるのかな。
『んんん……ぐっ』
パラパラと砂が舞う。
『開け…っ、わっ！！』
ドンッ！
急に開いたけど…勢い余って、お腹を打った。
『…痛いわ！！……急に開けるなんて悪趣味ね、玉森』
「驚いてない」
『急に開いたから驚いたわよ』
「違う。俺が居るのに驚いてない」
中継機を持ち上げ、外に出る。体が埃まみれなんだけど。
『来ると思ってたからね』
「…そっか」
『で、何の用？私はもう貴方達に用ないんだけど』
「…謝りたくて」
『……』
「…ごめ」
『謝らないでくれる？今更何？私に濡れ衣着せるまでがシナリオでしょ？なら成功したじゃない良かったね』
玉森はまた瞳を揺らす。
『今更私に謝って、許されようって？甘いんじゃないの。欺くには最後まで全うしなさいよ。ボロ出るわよ』
「…でも」
『人の役目も守り方も人それぞれでしょ。玉森の守り方が内通者になることだったなら、私の守り方は裏切ること』
「そこまで分かって…」
『KINGの手口なんて知ってるのよ。脅された？内通者になれば、仲間には手を出さないって言われた？』
「……」
『自分で宮田に手を出す程追い込まれるまで、何で周りを頼らなかったの？藤ヶ谷はいつまでも愛さんを自分が殺したと思ってるし、北山もあの場で犠牲になって私たちを逃した。んで玉森は守る為に自分だけ辛ければいいって？あんた達の「仲間」って、相談もせずに個人プレーよね。むしろ仲間がお荷物になってるじゃない？』
別にこんな事言いたかった訳じゃない。でも私は裏切らなきゃ。
玉森にいつもの勢いはない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 88人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
yuzu_(プロフ) - 完結間近なんですね！楽しみにしてます！ (2022年2月16日 8時) (
レス) id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - yuzu_さん» yuzu様、毎度コメントありがとうございます！長い間お待たせしてしまいました。本当に申し訳なかったです（ ; ; ）完結間近ですが、最後までお付き合い頂けると嬉しいです！ (2022年2月16日 1時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
yuzu_(プロフ) - お忙しい中ありがとうございます。ずっと待ってました泣また楽しみによみます！ (2022年2月15日 0時) (レス) @page42 id: b026b7a2ff (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - ほおうさぎさん» ほおうさぎ様、コメントありがとうございます！お返事遅くなりました。ごめんなさい。ジャニーズでこのようなお話ってあまり見かけないので勇気いりましたが、読んでくださる方が多く安心しています（笑）もう少しお休み頂きますが、これからも宜しくお願いします！♡ (2021年12月16日 17時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
ほおうさぎ - はじめまして！キスマイのこういうお話好きなので楽しみにしています！主様のペースで大丈夫ですからね。ゆっくりお休みください！！ (2021年12月12日 23時) (レス) @page42 id: 86f6a5fb9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナナシ | 作成日時：2021年11月25日 16時
