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『何の目的?』
2度聞いても黙り。誰も喋らない。
気になるじゃない。
「まあそれは追々」
「そうだね」
北山宏光は私から目を逸らす。
…はぐらかしたな。
「んでまあ、その為に協力して欲しいってわけ」
『協力って……私は人を亡き者にするくらいしか』
「いや、万能暗殺者と言われるくらいだし、他のことだって長けているはずだ」
『…さあ?』
あ、はぐらかしたな、って顔された。
そっちがそうなら、こっちもこうよ。
そもそも具体的なことを言わないくせに、協力なんて出来るわけがない。
依頼には報酬を。それが絶対だった私には、協力なんて言葉が理解出来ない。無償の愛は無い。
「釣れないなあ」
『釣れないも何も、具体的な事言わないくせに』
「まあそうなんだけど」
『何も知らないまま、協力しろ?そんなの無理よ』
「でも暗殺者は、依頼者の事情を知らないで殺すもんだろ?」
二階堂高嗣が聞く。
『ええ』
「なら『でも報酬がある』
「…報酬?」
『いい?私の世界では、依頼には報酬が付きものなの。人を殺せという依頼を受けたとして、報酬にそれなりのお金が入ってくる。もし依頼者が報酬を払わずに飛んだら?どんな言い訳しても、死よ。目には目を、歯には歯を。だから私が依頼を失敗したら、死ぬの。それくらいしっかりとした報酬がないとダメ。これが私の知っている信頼』
ああ、久しぶりにこんなに話した。顎が痛い。
皆は黙った。分かってる。世界が違う。私の世界は彼らよりもっと汚くて暗くて寂しい所なの。…昨日感じた温かさは、やっぱり私には合わないのかな。
「でも仲間は協力するもんなんだよ。報酬とか見返りが、とかじゃなくて。なんて言うんだろう……それが普通っていうか」
二階堂高嗣は、苦しそうに話している。
……仲間、協力、信頼。
全部が全部、私と違う。
……独り、依頼、報酬。
私には理解出来ない。苦しい。
『…私に普通を押し付けないで。私の普通は、明日を生きる為に殺めること』
同情したような目を向けるな。煩わしい。
……苦しい。
「…よし、そうだな。まあ俺もまだAを信用してないし、というか来て1日で信頼しようって方が難しい。ここは協力っていうより、依頼って形にしよっか」
今まで全く話してなかったのに、きっぱり言い切った藤ヶ谷太輔。もうこの際呼び捨てなのはどうでもいい。笑った顔が少し怖い。
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ナナシ(プロフ) - ななさん» やばかったですか!笑 ありがとうございます!テスト頑張って下さい! (2021年11月26日 0時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
なな - やばかった!テストが明日で終わるので、これを読むため頑張ります笑 (2021年11月25日 18時) (レス) @page50 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
なな - はい!楽しみにしています!!! (2021年11月24日 6時) (レス) @page45 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - ななさん» 大きく展開が動きました…これからどうなるか、楽しみにしていてください♪ (2021年11月23日 19時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
なな - ちょっと泣きそうになりました、、、みっくんがどうなってしまうのか。。。 (2021年11月23日 14時) (レス) @page43 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年11月10日 0時