43 ページ44
.
もちろん無傷で終わることはなく、藤ヶ谷を庇いながら進む廊下では沢山の傷を負った。外に出ても敵は居て、やっぱり仕組まれていた罠だったと気づく。全てが私たちを消そうと動いていて、辛くてどうにかなりそうだった。
「A、大丈夫か？」
『だいじょーぶ…』
藤ヶ谷のバイクに乗り、近くの廃ビルで待機組と合流することになった。身体の傷はあまり痛く無くて、心だけが酷く痛む。
「辛い思いさせて、ごめん」
藤ヶ谷は何かのトラウマで、血も銃も苦手になってしまったんだろうから仕方ない。責められない。誰も悪くない。
『…私、弱くてごめん』
やるせない。自分を責めるしか心を保つ方法が分からない。
私の身体は血だらけなのに、藤ヶ谷は嫌な顔せず私にくっつくよう言った。弱ると人の温かさは大切だと思った。
「A…！」
廃ビルに着くと、私はバイクを降りて歩いた。藤ヶ谷は私にゆっくりと着いてきた。
『…二階堂』
「ミツは？ミツはどこ？まさか本当に置いてきたんじゃないよね？ねえA！」
二階堂は私の肩を持って、ぐらぐら揺らした。
『北山…は、置いてきた、』
「…は？何言ってんだよ、A！Aは2人の護衛だろ？守る役目として屋敷に入ったんだろ？」
「ニカ、」
ぐらぐらぐらぐら。
二階堂の後ろに居る皆は俯いている。
『ごめん………ごめんなさい…』
「護衛だろ…？なあ、守れよ。しっかり守れよ！！！！」
「二階堂！辞めろ！」
二階堂に突き飛ばされた私を見て、藤ヶ谷は叫んだ。
痛くない、こんなこと。胸の痛みに比べたら、全然。
瓦礫の上に倒れた私に馬乗りをし、胸ぐらを掴みながら二階堂も叫ぶ。
「A、どうして置いてきた！ミツを何で置いてきた！！仲間なら助けるだろ！俺たちはこんなにAを仲間だと思ってるのに！まだ仲間が分からないのか！！なんでそんなお前が…生きて戻ってきたんだよ！！！！」
「二階堂！！！」
痛い。痛いよ。
二階堂から流れる涙は、私の胸に落ちる。
心が痛い。
「ニカ、言っていいこと悪いことの区別も付かねーのか」
「うるさいガヤ！ガヤだって！ミツを…ミツを見殺しに」
「ニカ！」
私から引き離され、藤ヶ谷に胸ぐらを掴まれた二階堂は、千賀の声にハッとして、小さくなるようにしゃがんだ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ナナシ(プロフ) - ななさん» やばかったですか！笑 ありがとうございます！テスト頑張って下さい！ (2021年11月26日 0時) (
レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
なな - やばかった！テストが明日で終わるので、これを読むため頑張ります笑 (2021年11月25日 18時) (レス) @page50 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
なな - はい！楽しみにしています！！！ (2021年11月24日 6時) (レス) @page45 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - ななさん» 大きく展開が動きました…これからどうなるか、楽しみにしていてください♪ (2021年11月23日 19時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
なな - ちょっと泣きそうになりました、、、みっくんがどうなってしまうのか。。。 (2021年11月23日 14時) (レス) @page43 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ナナシ | 作成日時：2021年11月10日 0時
