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「ほら、A!起きて」
『…ん』
「ご飯出来てるよ、顔洗ってきな」
今日は横尾の声で起こされる。
…ああ、今日は目覚めが悪い。理由は人を殺した後に必ず夢を見るから。殺した人達に追われる夢。罪に追われ、苦しみながら逃げる夢だ。
「…どうした?体調悪い?」
『…んん、だいじょうぶ』
「待ってるからゆっくりおいで」
パタンと閉じられた扉。
最近この夢を見てなかったせいで、尚更気分が悪い。重い腰を開けて、洗面所に向かう。
あの人達は私が来るまで食べない。早く行かなきゃ。
リビングに行けば、彼らはやっぱり待っていた。楽しそうに雑談している。
「お!A来た!」
二階堂の声で私に視線が集まる。
「A、やっぱり体調悪いんだろ?」
「ん?横尾さんどういうこと?」
その声に今度は横尾に視線が集まる。北山は私の所に来て、手をおでこに当てた。
「でも熱は無さそう」
『…元気だよ』
「起こしに行ったときから、少しだるそうだった」
「昨日の今日で疲れてるのかな」
宮田が私に水を持ってくる。ふう、冷たくて美味しい。
北山に引っ張られて席に座る。いただきますをしたけど、あまり食欲がない。こんなに美味しいご飯を食べれないなんて、私は馬鹿だ。
「A、お粥とかにする?」
「そっちの方が食べやすいかもな」
『…食べれる』
「無理すんなって」
『でも…』
「ご飯なんていつでも作ってあげるから、ね?お粥にしよう」
そう言って横尾はキッチンに向かった。横尾のお皿には沢山ご飯が残っているのに。
「A」
『…ん?』
北山の方を向けば、ほっぺをぶちゅっと手のひらで挟まれた。…なにこれ。
「もっと甘えろ。我儘言え。別に迷惑じゃないから」
『………』
「そうだよ!それが仲間だよ!」
やっと仲間を教えられた気がする!って笑う千賀。
「辛いなら辛いって、嬉しいなら嬉しいって共有しろ」
「ほら、何だっけ。嬉しさは2倍に、悲しみは…えっと、」
「半分、だね」
「そう!半分!」
玉森に教えてもらって嬉しそうな二階堂は、でも俺分かってたけどねって威張る。北山は私の頬をぷにぷにして、手を離した。
「じゃあ誰の名言か分かる?」
「えっと……」
「ドイツの詩人のシラーだよ。友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にする。」
「知ってるし!!!シラーだよな!あの可愛い人だろ!」
「ちなみに男ね」
「はあああああ!知ってますけど!!!」
二階堂がギャアギャア騒ぎ始めた。
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ナナシ(プロフ) - ななさん» やばかったですか!笑 ありがとうございます!テスト頑張って下さい! (2021年11月26日 0時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
なな - やばかった!テストが明日で終わるので、これを読むため頑張ります笑 (2021年11月25日 18時) (レス) @page50 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
なな - はい!楽しみにしています!!! (2021年11月24日 6時) (レス) @page45 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ(プロフ) - ななさん» 大きく展開が動きました…これからどうなるか、楽しみにしていてください♪ (2021年11月23日 19時) (レス) id: 18aa49fd4f (このIDを非表示/違反報告)
なな - ちょっと泣きそうになりました、、、みっくんがどうなってしまうのか。。。 (2021年11月23日 14時) (レス) @page43 id: 098f1a119e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年11月10日 0時