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｢飲み会？｣
田中｢そ、飲み会。ノー残業デーだし。｣
松村さん、まだご飯作ってないよね？
｢今夜はご飯いりません。帰りも遅くなります｣ってメッセージを送っておいた。
田中｢いける？｣
｢うん｣
松村さん、怒んないかなって心配ではあるけど……まあ大丈夫だよね。
田中｢……覚悟、決めてるから。｣
……なにが？
普通にいつも通り業務を終わらせて、営業何人かで飲み会。
田中と桜井ちゃんの間に座らされて話。
桜井｢……Aさん、彼氏さんとはいつから？｣
｢割と最近……｣
田中｢ちょっと来てくんない、A。｣
｢なに？｣
田中｢……ほんとに付き合ってんの？｣
いきなり廊下に連れていかれたと思いきや尋問が始まった。
｢え、なん……｣
田中｢俺、Aのことずっと好きなんだけど。｣
真剣な顔で、震えた声で田中が言う。
ああ、緊張してるなって伝わってくる。
｢……付き合っては、無いの。──｣
でも、と言おうとした瞬間、田中に肩を掴まれた。
田中｢ダメだよ、付き合ってないなんて言っちゃ。今から振る相手に一瞬でも希望持たせないで｣
｢振るって……｣
田中｢でも、好きなんでしょ、あの人のこと。｣
希望を持たせる……そうなのだろうか、｢でも｣って言葉が自分に可能性があると伝わってしまうかもしれないのだろうか
田中は、私のことが好き。
私は、松村さんが好き。
田中｢……なんのためにネクタイ結べないって言ってたと思ってる？｣
田中｢……Aが好きだから、だよ。そうやってれば絶対構ってくれる。ネクタイ、ほどいてみて？｣
｢えっ……｣
田中｢早く。｣
言われるがまま、ネクタイを解こうと近づいたら腕を掴まれた。
田中｢……自分に気がある相手に不用心だな、ほんと。｣
田中は自分でネクタイを解いてみせて、もう一度結んだ。
｢……下手じゃん。｣
田中｢Tシャツが好きだもん、結べなくはねーけど。｣
｢……いいよ、これからも結んであげる｣
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作者名：冬村
| 作成日時：2020年3月20日 15時
