真っ赤(ギアッチョ) ページ8
「歌って好きじゃあないのよね」
その言葉に反応したのはギアッチョだった。ほんの一瞬だけ大層驚いた顔をすると、すぐさま舌打ちしてラジオの電源を消した。ちょうどサビに入るタイミングで人気歌手の曲がぷつりと途切れたために、他のメンバーは訝しげに視線をラジオを止めた主へ向ける。そして止めたのがギアッチョだと知ると、黙って立ち上がり部屋からすっと出ていった。大方ギアッチョが理不尽にキレて、巻き込まれてはたまらないと思ったのだろう。
Aは去り際のメンバーから「御愁傷様」というような目を向けられる。メローネなんかは目を細めて笑っていた。それにため息をつきたくなるのを堪え、Aは肩をすくめた。
「……お前よォ、さんざん歌聴いてるクセに好きじゃあないのかよ」
「ええ。何か悪い？」
「悪いってわけじゃあねえんだよ。ただよ、妙じゃあねーかと思ったんだ。なんで歌が好きじゃねえのに聴くんだよ？ え？ それっておかしくないかあ〜？ Aよォ、おまえ言ってることが矛盾してんだよッ」
「別に矛盾なんてしてないと思うけど」
その時、ギアッチョがピキリと眉間に血管を浮かせるのをAは見た。それにあーあ、と苦笑する。テキトーなことを言ってしまったために、ギアッチョのスイッチが入ってしまったのだ。面倒だけど、どうにか彼が納得のいくように説明しなきゃな、と考えているとギアッチョは「おい」と口を開く。
「ならよ、どうしたら好きになんだ？」
「……へ？」
予想外の発言にAが目を丸くすると、ギアッチョは後ろ髪をガシガシと掻いた。目を逸らすと、暫く逡巡した後に顔を真っ赤にしながら呟く。
「…………嫌いよりは……好きな方が良いだろーが。それにオレはよォ、歌聴いてる時のおまえ、結構好きだぜ？」
「やだギアッチョ、何か変なものでも食べちゃったの？」
思わずAが心の声を漏らすとギアッチョは目を見開いて、自分らしくない発言に我に返ったか口をパクパクと魚のように動かすと、やがて「意味わかんねーんだよクソッ！」と叫んだ。
そのまま部屋を出て行き、ギアッチョは勢いよく音を立ててドアを閉めていく。直後、ドアの向こうで、ギアッチョが激昂する声とメローネの悲鳴が聞こえた。
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とある決闘者(プロフ) - リルスさん» 感想ありがとうございます。キュンキュンしてくださっただなんて……その言葉だけでとても頑張れます。改めてありがとうございます！ (2017年12月12日 21時) (
レス) id: c74a5c30fb (このIDを非表示/違反報告)
リルス(プロフ) - この作品を見て、久しぶりにジョナサンとディオ様にキュンキュンきた…！更新がんばって下さい！ (2017年12月12日 21時) (携帯から) (レス) id: 5254e9f568 (このIDを非表示/違反報告)
とある決闘者(プロフ) - おバカな傀夢さん» 傀夢さんありがとうございます！ いつもあなた様のコメントに励まされています。是非是非お楽しみください！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: c74a5c30fb (このIDを非表示/違反報告)
おバカな傀夢(プロフ) - とある決闘者様の作品はどれも好きなので、この短編集も楽しみに更新を待ちます！更新頑張ってください！応援してます！他の作品も楽しみです！！ (2017年12月11日 17時) (レス) id: 5ff30031ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とある決闘者 | 作成日時：2017年12月10日 22時
