お嬢様と執事～3～ (ページ24)

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Aside

私たちが向かった場所はもちろん中庭。

何かある度にここに来たくなるのは私も大毅も同じらしい。

「大毅、今日ありがとね……」

重「俺は何もしてへんよ。」

望から聞いた。

今日私が望と横浜に行ったのは大毅が二人で行くように提案してくれたかららしい。

お陰で昔の事を色々思い出して、前に進める気がする。

「大毅、この前の返事、してもいいかな？」

"結婚、せえへん？"

誘拐されたりなんだりでだいぶ時間が経ってしまったけれど頭の中にはいつもその言葉があった。

大毅もわかってるのか、黙って私を見つめる。

「大毅と、結婚、したいです……」

恥ずかしくて最後の方は消えそうな声になってしまうけど最後まで伝えなきゃ。

「今まで過去の事とか、会社の事とか色んなこと考えて、本当に大事な事を私、見失ってたみたい。」

本当に大事な事は望が渡してくれたお父さんとお母さんからの手紙で気がついた。

「私は、大毅と幸せになりたいって思ってる。」

少しの沈黙が流れた。

その沈黙の中には緊張が流れていた。

重「A、こっち見て？」

顔を上げると笑顔の大毅がいた。

重「絶対俺が幸せにしたる。絶対後悔させへん。一生俺が側におるからな。」

そう言うと大毅の顔が近づいてきて………唇が触れた。

突然の事に驚いて唖然としている私に淡々と話しかける大毅。

重「ん～親父にこの事言わなあかんよな～てか婚約指輪も買ってへんやん……ってA大丈夫？」

そんな私にようやく気がついたのか声をかけてきた。

重「そんなにキスがよかったん？」

「ち、違うから！」

重「え～ちゃうん？やったら次はもっと気持ちよくせなあかんよな～」

なんて変な事を大毅が言ってくるから恥ずかしくてたまらない。

「ほら、もう！みんなのとこ帰ろ？」

重「はいはい、お嬢様。」

執事モードに戻った大毅に寂しさを感じつつ、目の前に咲くカランコエにこの先の幸せを願った。