お嬢様と執事～3～ (ページ21)

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Aside

そこにはもう見る事はないと思っていたお母さんの字が並んでいた。

"Aへ

お誕生日おめでとう。もう二十歳になったんだね。今私の目の前にいるあなたは今十歳になったばかりです。

そんなAが成人するなんて考えられないです。

今、幸せですか？ちゃんと笑えてますか？

私は仕事で忙しくてAに我慢させてる事が多いよね。ごめんね。

そのせいで甘えさせてあげる事も出来なくて、きっと寂しい思いをしたよね？今のあなたには甘えられる存在がいますか？

まだ早いかな？

私はAのお父さんとは一緒になる事はできなかった。でも不幸せだなんて思った事はありません。

それはきっとAっていう大切な存在がいたからだと思う。

Aがいたからこそつらい事もなんでも乗り越えられました。ありがとう。

お父さんとの間にAを授かれて私は幸せ者です。例え周りからなんて言われたって幸せです。

Aも幸せになってね。

愛してます。

母より"

私はちゃんと愛されていたんだ。

お父さんとお母さんの仲を割いたのは自分だって思ってたけど、二人はそんな事思ってなかった。

お母さんに至っては幸せだって何度も何度も言ってくれた。

望に抱きしめられて現実に戻る。

幸せになりたい。

二人の気持ちをちゃんと心に留めて前に進まなきゃ。

小「ふふ、ぶっさいくな泣き顔やな～」

「っ、うるっさい……」

昔からずっと一緒だった望とこの公園にいると些細な色んな記憶が思い出される。

その記憶は全て温かくて、冷たい外気も寄せ付けなかった。

小「そろそろ帰ろっか……」

一通り泣きつくして涙が収まった頃そう言われてだいぶ時間が経っていた事に気がつく。

「そうだね……」

もう振り返らない。

私の帰る場所は大毅とみんながいる場所だ。

家に帰ったら私の気持ちをちゃんと大毅に伝えよう。