お嬢様と執事～3～ (ページ12)

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藤井side

中「のんちゃん、何があったん？」

淳太はお嬢様をしげに託した望の意図がわからないらしく、望に問いかける。

小「別になんもないし。」

中「なら、どうしてそんな泣きそうな顔してるん？」

いや、淳太も気づいてるんやろうか？気づいてて、わざと望に言わせようとしてる？

小「別に？俺はこれくらいで泣かへんから！」

そう言った瞬間に望の目からは大粒の涙が溢れた。

小「振られた事なんて何とも思ってへんし！しげとAが付き合ってても何とも思わんし！二人が今何してんのかなとか考えても全然平気やし！」

ボロボロと涙を零しながら強がりを言う望を見て不覚にも可愛いと思ってしまったのは俺だけじゃ無いらしく、

濱「も～お前は可愛いやっちゃな～」

みんな優しい顔で望の事を見てるし、濱ちゃんは望の頭を撫でている。

ほんまにこいつは憎めないやつやで？

望を取り囲んでわいわいとやっているみんなの姿を俯瞰から見て、お嬢様の救助で張り詰めていた緊張が解けた気がする。

神「流星、どしたん？」

そんな俺を心配そうに覗き込む神ちゃん。

こいつはいつも俺の昔の事を心配して、俺の些細な変化にも機敏に気づいてくれる。けど、今は別にそんなんじゃないのにな、なんて思って苦笑する。

藤「いや、なんか、あったかいなって思っててん。」

神「そうやな～。」

目線は望に向けたままで、特に何も言わない神ちゃん。

藤「俺、ここに来てから妹の事忘れることが多いんよ。」

こいつらとおると笑いが絶えなくて、四六時中あいつの事を考えてる日々が変わり始めた。

藤「最初は忘れるのか嫌やってんけどさ、忘れた分だけ前に進んでるって事なんかな？って思うようになってな～」

相槌だけで特に何も言ってこない神ちゃんを前にするとついつい言葉が出てきてしまう。

藤「望もそうなるとええな～」

神「そうやな～」

なんて。いつもは俺が望に突っ込まれてばっかりやけど、たまには年上面してもええやろ？