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当の本人は何も変わらない様子で、ゆるりと上がりきった口角のまま缶を傾けて笑っている。ふざけている誰かに「お前何やってんねん」とか言いながら。
それを見て、あ、この人全然酔ってないんだろうなって気づいた。
時々繋いだ手にキュッと力が込められて「お酒のせいやんな」なんて大義名分を使っていいかと聞かれている。
今、私の神経は全て右手に集中していて、頭で冷静に考える分の力が残ってない。
「帰る奴らと一緒にちょっとコンビニ行くけど、Aも行くか？」
立ち上がった同期に声をかけられた。
私が返事をするより先に先輩の声が耳に入ってくる。
「あ〜。Aちゃんちょっと飲み過ぎたみたいやし、俺水飲ましとくから行ってきて」
ガチャッと玄関のドアが閉まる音がした。
部屋には酔い潰れて深い眠りに落ちた人が数名と、私と純喜先輩だけ。
テレビの音と誰かのいびきの音が部屋に響く。
あれ……、私そんな飲んでたっけな。
ゆっくり手が解かれて、指を伝うように手の下に滑り込んできて、また指が絡められて、今度は所謂恋人繋ぎに変わった。
先輩の手が暖かい。体温を直に感じて、心臓の動きがますます速くなる。
なんだか本当に酔っ払ってきたかもしれない。頭が回らなくてすごくボーっとする。
右手にしか感覚が無くなったみたいに、それ以外の全身の力が抜けて落ちてしまった。
だからなのか、
Aちゃんと呼ぶ声にも、純喜先輩の頭が遮ってできた顔にかかる影にも、ゆっくり触れた唇にも、すぐには気づかなかった。
「っ、……」
声が出てこない。
驚いていると至近距離で先輩がボソッと呟く。
「イヤやったら避けて」
繋いだ手に力が込められる。
……逃がす気ないじゃないですか。
こんな状況で、一度キスしておいて、どう考えても避けられるはずがないのに。
いつ起きるかわからない友達や、いつ帰ってくるかわからない同期のことはすっかり頭から抜け落ちていた。
デジャブのように目の前が暗くなる。
影の中で最後に見えた先輩の目は、確実に私を捉えていて離してくれない。
私は為す術もなくただ目を瞑るだけで、微かに手を握り返すことしかできなかった。
Fin.
♪ KISSのたびギュッとグッと / 美的計画
彼のドラマが公開されてしまう前に心を慣らそうとしています。
純喜先輩はなかなかリアルで困る。
ツキコ
#三月に焦がれて（碧海）→←#まばたきの隙間で幻を見る（純喜）
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ツキコ(プロフ) - ななしさん» お返事が遅くなってしまいごめんなさい、、！コメントありがとうございます🥲リアリティ求めてたら書いててちょっと苦しくなりました笑 伝わったようで嬉しいです🙌更新がんばります〜！！ (2022年5月7日 21時) (
レス) id: f54c094325 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 純喜のやつ、リアルでやばいですね⋯お話好きです✨ご無理はせずに！更新楽しみにしています⋯🥰 (2022年3月30日 0時) (レス) @page31 id: 18bfafaa9d (このIDを非表示/違反報告)
ツキコ(プロフ) - はなさん» 外し忘れていました…！報告していただきありがとうございます！ (2022年1月17日 18時) (レス) id: f54c094325 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - オリジナルフラグたっちゃってますよ……！ (2022年1月17日 16時) (レス) id: 1f4f011eda (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツキコ | 作成日時：2022年1月16日 22時
