. ページ5
夕「俺とは大違いやから、ほんまに憧れで。でも、先輩として言いたいこともあって」
「……なぁに？」
夕「もっと自分を大切にしてよ。奨くんがINIのみんなにたじくんのこと伝えに行ったら、めちゃくちゃ寂しそうやったって。自分が言わんと周りもわからんよ。助けてあげられへんもん。そしたら田島くんもずっとしんどいままやで」
説教じみた言葉だけど、風邪で身体だけでなく心も弱った自分にはぐさりと刺さって。頬が濡れてるのがわかる。
「なんにも知らないで、けほっ、そんなこと……」
夕「なんか、ご、ごめん、泣かせようと思った訳ちゃうくて。その……俺も田島くんみたいに、頼らず1人で抱え込んでた時期あって、でも、それが違うってメンバーが気付かせてくれてん」
「え、っけほ、げほっ、」
夕「せやから、その。田島くんも、さっきみたいに1人で泣かんといてほしくて。1人じゃないから、田島くんは」
返事するとまたむせてしまって咳が止まらない。
苦しくて起き上がると、優しく背中をさすってくれる。
夕「もっと周りを頼らな。寂しいよ、みんな」
INIのメンバーみんなが急に恋しくなって、でもこの背中の手も離れないでほしくて。
「つら、っ、げほっ、げほ」
夕「……辛いな、その咳」
咳じゃなくて。自分が1人でいることが辛いのに。拍子抜けした言葉にまたむせ込んで、Aくんの温かい手が離れる。
行かないで、って言おうとしたら、そのまま席を立って、ペットボトルの蓋をあけて、俺の口元に持ってきた。
恥ずかしくてたまらなかったけど、そのまま水を飲ませてもらって。
落ち着いたら、また涙が溢れてきて。
「Aくん、」
夕「なに？」
「……ごめっ、」
夕「……」
俺の頬に落ちた涙を拭って、Aくんは無言で俺を寝かせた。
夕「───"果てしない道 過ぎていく景色 寂しく光る夜空"───」
布団の上からとんとんと小さい子を宥めるみたいに優しく叩いて。
咳のせいで夜もほとんど眠れてなかったから、温かいこの手に俺はすぐに眠くなって。
Aくんの囁くような歌が、俺の心をじんわり溶かしていく。
久しぶりに静かにゆっくり眠って、柾哉くんが俺を医務室に迎えに来た時も、Aくんはずっと俺の手を握ってたって。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 238人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
lilac(プロフ) - むぐさん» こちらこそリクエストありがとうございました！いつも読んで頂きありがとうございます(；；)また是非リクエストお願いいたします。ありがとうございました 𓈒𓏸 (1月13日 21時) (
レス) id: d9605496df (このIDを非表示/違反報告)
むぐ(プロフ) - コメント遅くなりすみません。リクエスト書いていただきありがとうございました！拓実くんはもちろんですが、気になっていた夕愛くんの家族関係も見えたお話で嬉しかったです。毎話読み切った後に心が暖かくなる作品だと思ってます。本当にありがとうございました！ (1月11日 0時) (レス) id: 7d75983100 (このIDを非表示/違反報告)
lilac(プロフ) - むぐさん» リクエストありがとうございます！J-LOG、本当に丁度どのケミにするか迷っていたところです😳順番にお答えしますので、少々お待ちください🫶 (12月20日 22時) (レス) id: d9605496df (このIDを非表示/違反報告)
むぐ(プロフ) - はじめまして、いつも楽しく拝見させていただいております！リクエストなのですが、夕愛くんと拓実くんの組み合わせでJ-LOGを撮るお話を読んでみたいです。ご検討いただけると嬉しいです。これからも応援しています！ (12月18日 1時) (レス) id: 7d75983100 (このIDを非表示/違反報告)
lilac(プロフ) - 刹那さん» リクエストありがとうございました！翔也くんと夕愛くんの絡み、いっぱい書きますね✊また是非リクエストお願いします！ (12月18日 0時) (レス) id: d9605496df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：lilac | 作成日時：2023年11月26日 15時
