永遠のMORSE(2) ページ7
ある夜。
夕食を終え本を読んでいると、
コートを着たエリが靴を履き替えていた。
「エリ？どこ行くん？」
「このブーツ」
「え？」
「オスカーが買って来てくれたブーツ。
気に入ったから、散歩行って来る」
”散歩”
それは越して来た頃から続く
ひと月に一度の、恒例行事。
子供の僕に人殺しをさせぬようにと
エリが決めたことだった。
僕の見ていないところでエリは苦しみ、
月の終わりにはげっそりとやせ細る。
もう今はその必要はないはずなのにエリは、
夜の散歩に出掛けて行った。
ーーーーーー
エリのいない夜の僕の居場所。
バー”METEOR”
薄暗い店内。
リュウがいつもの笑顔で出迎えてくれる。
リュウの作ったお酒を飲みながら、
五年前のことを想う。
苦しむエリを見ていられずに、
初めて人を殺めた日。
子供だから。
怪しまれも、疑われも、しないままに。
血を持ち帰った僕を見て、
エリは言った。
「オスカー、ありがとう。
気持ちは・・嬉しいで。
せやけど、もうやめて。
もう二度と、こんなことせえへんて、約束して」
悲しそうに、薄い藍色の瞳を濁らせて。
「せやけどエリが苦しそうで、見てられへんねんもん、僕・・」
「苦しい。苦しいでそりゃ。
せやけど、それで死ぬわけやない。
一ヶ月くらい我慢できる。
やつれた姿見せてもうて、オスカーには悪い思てる。
けどな、オスカー・・」
「エリ？」
「僕、オスカーに出会って、あったかい気持ち、もろたんや。
今までは、ただ生き延びるために人の血ぃ吸うてたけど、
今は一応、人選んどるし・・ただのエゴやって解ってんねんけどそれでもっ」
訥々と語るエリがいじらしく、小さな身体を抱きしめた。
「オスカー！話聞いてっ」
「聞いとる。せやけど、許してほしい」
「オスカー・・」
「一緒に生きるって決めた日から、僕は悪魔に魂売ったんや」
エリが僕の身体を押し戻す。
「オスカー、泣いてるん」
「泣くことだけは、許して？」
大切に育ててくれた母さん。
一緒には暮らせなくなったけど、遠くの街で僕を想ってくれた父さん。
僕は普通の大人にはなれへんかったけど、
大事な人を幸せにしたい。
こん人を、笑わせていたい。
許されない恋やとわかってる。
せやけど・・。
枕を濡らす懺悔の祈りを、一度も最後まで結べたためしはない。
そして今も僕は、週に一度。
朝から人を、殺め続けている。
(つづく)
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しろくま ．○(プロフ) - 大福もちこさん» 返事遅くなっちゃってすみません！ありがとうございます！！楽しみです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年8月23日 2時) (
レス) id: 984ff39804 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - しろくま ．○さん» しろくまさん、リクエストありがとうございます＾＾遅くなりましたが承りました！がんばりますね〜♪ (2016年7月28日 0時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま ．○(プロフ) - 小説面白いです！いきなりですけどリクエストいいですか？のんちゃんが女体化してしげりゅせに取り合いされてるのを見てみたいです！これからも更新がんばってください！ (2016年7月13日 11時) (レス) id: 984ff39804 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 赤兎さん» いえいえーどうもありがとうございます＾＾リクエストうれしいです。重岡さん総受ですか。む、難しいけどがんばってみまーす！！ (2016年4月16日 21時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 森村里桜さん» わぁ〜本当ですかっ嬉しいです！感想頂けるのすごくうれしい＾▽＾かなりゆっくり更新ですが、これからも楽しんで貰えるようにがんばります♪ (2016年4月16日 21時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大福もちこ | 作成日時：2015年12月14日 0時
