永遠のMORSE(1)・・・小瀧×重岡 ページ6
＜配役＞
オスカー：小瀧望
エリ：重岡大毅
オスカーの母親：神山智洋
オスカーの父親：桐山照史
オスカーの父親の恋人：中間淳太
オスカーとエリの部屋の隣人：濱田崇裕
オスカーが通うバーのバーテンダー：藤井流星
※舞台はスウェーデンですが、言葉は何故か関西弁です。笑
ーーーーーー
エリを詰め込んだトランクと一緒にブラッケベリを出て、十年が経っていた。
父さんも母さんも、それぞれの場所で元気にやっている。
そう願いながら僕は、年相応の姿の青年になった。
そしてエリは今も、
１２歳のまま。
「エリ起きて！」
どうしても一緒に食卓を囲みたくて僕は、週に一度は朝から人を襲った。
「どない？」
エリはコップを満たした赤いジュースを飲み干すと、舌でペロリと唇を舐めた。
「ん、美味し」
八重歯を見せて笑う。
「よかった」
僕も満足し、自分の朝食に手を付ける。
目玉焼きの黄身をつぶしてパンをつけると、
エリが尋ねた。
「オスカーは？」
「美味しいで」
「ふふっ、黄身ついてんで」
エリの細い指が僕の口元を拭う。
エリがそれを舐めてくれたらどんなに嬉しいか。
何度そう思っただろう。
けれどそれは叶わない。
エリの身体は、生き血以外のものを受け付けない。
「あーん」
エリの指を自分の口に含む。
「すっ、吸わんとってっ！」
顔を真っ赤にするエリを見られるのは自分だけ。
その優越感に浸っていられる時間が長くないことくらい解っていた。
あの、ブラッケベリでエリと暮らしていたおじさんのように。
僕もエリを置き去りに、
年を取っていくのだから。
「いやや。吸う！」
ちゅうちゅうし過ぎて黄身はもうないのに。
いつまでもエリの指を離せずにいた。
エリはもう、自分と釣り合わない僕を好きではないのではないか。
そんな不安が頭をもたげるようになったのは、
ここ２〜３年のことだ。
エリが僕を見る目が何か変わったような。
そんな気がして。
「オスカー、もういい加減やめてくれへん？」
うんざりした顔も好き。
黒い瞳も。
エリのどんな顔も、ずっと見ていたいのに。
「ふやけたやん」
離した指を見つめる。
「ごめん」
「なに謝ってるん？オスカーらしないなぁ」
「そう？」
「うん。オスカーはふてぶてしいのが一番よう似合うで」
「嬉しないわ！」
カーテンを開けることはできなくたって
僕たちの食卓には笑顔が溢れていた。
(つづく)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しろくま ．○(プロフ) - 大福もちこさん» 返事遅くなっちゃってすみません！ありがとうございます！！楽しみです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年8月23日 2時) (
レス) id: 984ff39804 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - しろくま ．○さん» しろくまさん、リクエストありがとうございます＾＾遅くなりましたが承りました！がんばりますね〜♪ (2016年7月28日 0時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま ．○(プロフ) - 小説面白いです！いきなりですけどリクエストいいですか？のんちゃんが女体化してしげりゅせに取り合いされてるのを見てみたいです！これからも更新がんばってください！ (2016年7月13日 11時) (レス) id: 984ff39804 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 赤兎さん» いえいえーどうもありがとうございます＾＾リクエストうれしいです。重岡さん総受ですか。む、難しいけどがんばってみまーす！！ (2016年4月16日 21時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 森村里桜さん» わぁ〜本当ですかっ嬉しいです！感想頂けるのすごくうれしい＾▽＾かなりゆっくり更新ですが、これからも楽しんで貰えるようにがんばります♪ (2016年4月16日 21時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：大福もちこ | 作成日時：2015年12月14日 0時
