故意に拾った恋だから(1)・・・重岡×照史 ページ34
ある朝目覚めたら自分の寝姿を上から眺めていた。そんな経験はないだろうか。
ああ俺、死んだんやな。
そう一人納得し魂だけになって天に昇ってゆく。そんな朝を迎えたことが。
残念ながら、俺はない。
そういう朝を迎えたいと何度願っても。
俺はいつも通りに薄っぺらい布団の中で目を覚ます。
誰からも見向きもされず、ただ日銭を稼いで、食べて死ぬ。
それだけと分かりきった人生に、なんの意味があるのか。
わからないまま。考えるのをやめて、もう何年経つだろう。
「今日はここね」
手渡された小さな紙切れ。
記された地図は、繁華街の片隅のビルにある店。
”incontro”
「ここ出会い喫茶ちゃうん？」
デートをしてお金をもらう仕事なのに、どうしてわざわざこんなとこ。
「そういう店に一回入ってみたいんやと。けど怖いんは嫌なんやて」
付き合ってやれ、と目も合わせずに店長に言われ、別に良いけどといつになく冷めた気持ちで店を出た。
いつものように適当な服を着ていたから、こんなダサい人嫌だと断られればいい。そう思っていた。
こっちはいつ死んだって痛くも痒くもないのだ。明日食べるのに困っても、俺は別に。
指定された店に入ると、薄暗い店内を赤い光が怪しく浮かび上がらせていた。古びたビル。
こんなところに出会いを求めてやってくる人って、相当イカレていると思う。
しかもここは、男性同士が出会う店。
「あの、」
左側の部屋に入ると、男が一人。不安気に話しかけて来た。
「はい」
「飲み物注文したいんですけど、どないしたら店員さん来てくれるんでしょうか？」
どないしたらて・・。こないな店で飲み物頼む人いるんや。一杯三千円もすんのに。
見るとテーブルには店のシステムとメニューの書かれた表。
「ここに書いてありますよ」その人のテーブルを指差す。
「あ、僕目ぇ見えへんのです。よかったら教えてくれませんか？」
驚いてその人を見る。
黒い髪にキョトンとした瞳。なんやちょっとゴツい、犬みたいな。
「えっと、あなた、この店がどういう店か知ってて来たんですか？」
放っておけば良いのに、なんでかしたこともないお節介が顔を出す。
「どういうって、喫茶店ちゃいますのん？」
不思議と暗さのない表情。
「ここ出会い喫茶言うて、めっちゃ金取られますよ？」
「えっ、マジっすかっ？！」
見えないと言っておきながらキョロキョロと回りを見回し、その人は席を立った。
(つづく)
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しろくま ．○(プロフ) - 大福もちこさん» 返事遅くなっちゃってすみません！ありがとうございます！！楽しみです(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2016年8月23日 2時) (
レス) id: 984ff39804 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - しろくま ．○さん» しろくまさん、リクエストありがとうございます＾＾遅くなりましたが承りました！がんばりますね〜♪ (2016年7月28日 0時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま ．○(プロフ) - 小説面白いです！いきなりですけどリクエストいいですか？のんちゃんが女体化してしげりゅせに取り合いされてるのを見てみたいです！これからも更新がんばってください！ (2016年7月13日 11時) (レス) id: 984ff39804 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 赤兎さん» いえいえーどうもありがとうございます＾＾リクエストうれしいです。重岡さん総受ですか。む、難しいけどがんばってみまーす！！ (2016年4月16日 21時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
大福もちこ(プロフ) - 森村里桜さん» わぁ〜本当ですかっ嬉しいです！感想頂けるのすごくうれしい＾▽＾かなりゆっくり更新ですが、これからも楽しんで貰えるようにがんばります♪ (2016年4月16日 21時) (レス) id: 2b183af5c8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大福もちこ | 作成日時：2015年12月14日 0時
