杞憂�ぁ別慝�） ページ36
「見ちゃったんだよ…俺の知らない男と歩いていただろ？本当は街までAを迎えに行こうとしていたんだ。」
『見てたの⁈近くにいたのなら声をかけてくれてもいいのに…』
「それは置いておいて、…アレは誰？」
ピンときたAは急に俺の胸へ頭を預けると、堪えきれなくなったのか吹き出した。
声を出して笑うのが悪いと思い、静かに肩を震わせていることさえ俺には面白くない。
「ちょっと〜A。」
『ごめんなさい。あの人はね…』
一言謝ったAは、目尻に溜まった涙を拭いながら話してくれた。
『あなたの好きな茶葉を買いに行ったけど、時季がずれていて行きつけの店には既に置いてなかったのよ。
普段から贔屓にしていたから、店主のご好意で顔利きの問屋まで一緒に連れて行ってくれてね。
屋敷と問屋が反対の方向で少し時間がかかったけど、お陰様で残り少ない茶葉を譲ってくれたのよ。』
「と言うことは俺が見たのは店主？」
『背が高くて一回り年が上っぽい人ならね。』
全て合点がいって力が抜けた。
俺は馬鹿だ。
他の男と通じてると疑うなんて。
再び腕の中にAを閉じ込めた。
先程は余裕が無くて感じなかったが、Aの匂いが俺を落ち着かせる。
『嫉妬、した？』
「それ以上言わないでよ。」
きっと赤くなったであろうこの顔はさすがに見せられなくて、抱きしめている腕を強めた。
一人で舞い上がって落ち込んで、空回りばかりの自分に笑っちゃうな。
『誤解させてごめんね、真っ先に会いに来てくれようとしたのよね。ありがとう約束を守ってくれて。』
Aは背伸びをしてなだめるように、そして遠慮がちに俺に短く口付けた。
『お疲れ様、無事に帰ってきてくれて良かった。』
あーそうそう、この時の為にAの元へ急いでやってきたんだった。
俺の今日の杞憂と、戦で疲れた体は口付け一つで瞬時に癒される。
二つの影は離れることなく先程より長く伸びていた。
ーーー
『そうだ、せっかくだから買ってきたお茶飲んでいかない？』
「それは嬉しいね。…でももう暗くなってきたよ。前に俺言ったよね？次に会った時は我慢出来ないって。」
『…え？そんなつもりで言ったんじゃ…』
「だーめ！どれだけ今日一日で気を揉んだと思ってるのさ。それに、そろそろ次の展開に進んでみたいと思わない？」
両頬を包みコツンと額を合わせると、押し黙って赤面したAの顔が俺の目に愛しく映った。
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ずーみん(プロフ) - 春雷さん» 素敵な感想を頂きましてとても嬉しいかぎりです。今書いているものが完成したらまた蒙恬に着手しようと思います！たくさん読んでくださってありがとうございました！ (2021年6月16日 20時) (
レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
春雷(プロフ) - ほんと良いです！切なくなったり、色々と思ってしまいました。どの作品も文章や表現が綺麗で、ファンになりました！これからも楽しみにしています！蒙恬のお話を特にお待ちしております (2021年6月16日 14時) (レス) id: 50c46308fb (このIDを非表示/違反報告)
とも - 毎日楽しみに読ませてもらってます！街で出会ってから一目惚れされて仲良くなって告白されるまでを書いていただきたいです！多いですが王賁と蒙恬と信と政をお願いします！！ (2020年11月27日 7時) (レス) id: 382e67ae5e (このIDを非表示/違反報告)
ずーみん(プロフ) - 凛さん» 凛さん≫お待たせ致しました。ページが一杯になってしまったので、短編集続編の方に載せました。少々サッパリした展開で上手く書けたか分かりかねますが、書いてて楽しかったです、リクエストありがとうございました！ (2020年11月27日 1時) (レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 有難うございます！楽しみにしています！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 61c2aa8520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プラリネ | 作成日時：2020年9月6日 2時
