揉め事�◆焚�賁） ページ24
天幕を出て行く隊長に向かって馬鹿と言えるのは私しかいない。
いないけどそれはあんまりじゃないの。
私は別に今更怪我をしようが死地に立とうが覚悟は出来ている。
女故に生捕りとして狙われることも一度や二度ではない。
その度に敵を蹴散らしてきた。
それこそ私だって並大抵な努力でここまできたわけではない。
隊の為に、ひいては王賁の為に剣を振るっているのに。
ブスッとむくれた顔で夜具を身に包む。
『あ、ここ王賁の寝台だった。』
このまま顔を合わせるのも気まずいし動けそうなら自分の寝台へ戻ろうかな、そう思った時。
私以外のもう一人の副長が入ってきた。
とっても嫌な予感がする。
「お前は馬鹿か阿呆か。」
『と、言いつつ粥を持ってきてくれるなんて番陽副長はお優しい。』
盆のまま受け取り膝の上に乗せ、ぎこちない動作で匙を口に運ぶ。
温かく優しい味が体に染みていく。
外では勝利の宴が始まったのか、隊員たちの和やかな声が聞こえてきた。
「賁様のお気持ちも考えろ。」
『分かっています、さっきまで散々叱られていましたから。』
「いや、分かっておらん。」
どういうことかと疑問に思い手を止める。
チン…と匙を置く音が小さく響いた。
乱戦を避け右から回り込んだ時。
敵の大将がAに致命傷を負わせて落馬をしたと思った王賁が、今までにないくらいの怒気を含んだ顔で敵将を討ったこと。
その後気を失っているAを自ら馬に乗せここの天幕まで連れてきたこと。
本人も無傷ではないにもかかわらずAの目が覚めるまで離れなかったこと。
番陽副長の口から聞いて返す言葉がなく、しっかり反省せいと言い残し去って行った。
粥の乗った盆を置き、再び横になる。
目をつむって深呼吸すればだんだんと頭が冷えてきた。
なんだか文句ばかり言ってしまった気がする…終いには馬鹿とか。
顔を見たら謝ろう、そう思った。
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ずーみん(プロフ) - 春雷さん» 素敵な感想を頂きましてとても嬉しいかぎりです。今書いているものが完成したらまた蒙恬に着手しようと思います！たくさん読んでくださってありがとうございました！ (2021年6月16日 20時) (
レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
春雷(プロフ) - ほんと良いです！切なくなったり、色々と思ってしまいました。どの作品も文章や表現が綺麗で、ファンになりました！これからも楽しみにしています！蒙恬のお話を特にお待ちしております (2021年6月16日 14時) (レス) id: 50c46308fb (このIDを非表示/違反報告)
とも - 毎日楽しみに読ませてもらってます！街で出会ってから一目惚れされて仲良くなって告白されるまでを書いていただきたいです！多いですが王賁と蒙恬と信と政をお願いします！！ (2020年11月27日 7時) (レス) id: 382e67ae5e (このIDを非表示/違反報告)
ずーみん(プロフ) - 凛さん» 凛さん≫お待たせ致しました。ページが一杯になってしまったので、短編集続編の方に載せました。少々サッパリした展開で上手く書けたか分かりかねますが、書いてて楽しかったです、リクエストありがとうございました！ (2020年11月27日 1時) (レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 有難うございます！楽しみにしています！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 61c2aa8520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プラリネ | 作成日時：2020年9月6日 2時
