密約��（蒙恬） ページ15
朝から小雨が降る日、呉服屋にAの姿があった。
普通なら次々とあてがわれる婚礼の衣装に心躍るはずが、雨を降らせる雲のようにすっきりとしない気分だ。
雨が降る日はいつもあの人のことを思い出す。
外の空気を吸ってきます、と告げ軒先へ出た。
街をぶらつくのが好きだと言っていた。
しかもここは蒙家の屋敷と目の鼻の先であり、もしかしたら幸運にも彼に巡り合うかもしれない。
淡い期待を寄せながらAは雲を見上げた。
朝から降る雨に蒙恬は頭をよぎる女性がいた。
今頃どうしているだろう、と。
雨の日に街をぶらつけばまた彼女に会えるかもしれない。
いや、婚儀を控えた相手に馬鹿げた期待をするなんておかしいだろ。
自問自答するが体は外へ繰り出していた。
「ええー嘘…」
彼女は雨の使いか何かか。
屋敷の裏手にある呉服屋の軒先に、もう一度会いたいと思っていた人がいる。
蒙恬は胸の内を気取られぬように話しかけていた。
「婚礼の衣装を決めにきてるの？」
『蒙恬様？』
驚きを隠せないAに、少し歩いて話さない？と差している傘を傾けた。
「その後、どう？」
聞きたいようで聞きたくないようでもある。
しかし二人が出会ったきっかけのようなものだ、と蒙恬が先に口を開いた。
『何度が顔を合わせて…とても良い人です。やっていけそうな覚悟が出来ました。』
「そう、良かった。
そうだ今度お祝いに何か贈らせてよ、友人として。」
『傘なんてどうでしょう？』
「ちょっとそんなに一つの傘に入るの嫌だった⁈俺かわいそー。」
冗談を言い合いながらしばらく街を歩くも、時々触れる腕や肩へ互いの意識がいく。
駄目だ、これ以上一緒にいては。
二人の頭の中で警鐘を鳴らす。
人は欲深い生き物で、相手のことを知ったらもっと知りたくなる。
長く過ごせば別れづらくなる。
『私、雨が好きになりました。』
「…俺もだよ。」
その言葉の真意は二人にしかわからない。
「そろそろ戻ろう。」
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ずーみん(プロフ) - 春雷さん» 素敵な感想を頂きましてとても嬉しいかぎりです。今書いているものが完成したらまた蒙恬に着手しようと思います！たくさん読んでくださってありがとうございました！ (2021年6月16日 20時) (
レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
春雷(プロフ) - ほんと良いです！切なくなったり、色々と思ってしまいました。どの作品も文章や表現が綺麗で、ファンになりました！これからも楽しみにしています！蒙恬のお話を特にお待ちしております (2021年6月16日 14時) (レス) id: 50c46308fb (このIDを非表示/違反報告)
とも - 毎日楽しみに読ませてもらってます！街で出会ってから一目惚れされて仲良くなって告白されるまでを書いていただきたいです！多いですが王賁と蒙恬と信と政をお願いします！！ (2020年11月27日 7時) (レス) id: 382e67ae5e (このIDを非表示/違反報告)
ずーみん(プロフ) - 凛さん» 凛さん≫お待たせ致しました。ページが一杯になってしまったので、短編集続編の方に載せました。少々サッパリした展開で上手く書けたか分かりかねますが、書いてて楽しかったです、リクエストありがとうございました！ (2020年11月27日 1時) (レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 有難うございます！楽しみにしています！ (2020年11月23日 18時) (レス) id: 61c2aa8520 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：プラリネ | 作成日時：2020年9月6日 2時
