信の一目惚れ�� ページ16
久しぶりの帰還。
皆それぞれの村や街に引き上げていった中、信と貂はお目当ての市の武具屋の前にいる。
とりあえず貂一人だけで店主を見て来いよと信は肘で突いた。
待つ間は腕を組んだり伸びをしたりそわそわと落ち着かない気分でいる。
しばらくすると貂は複雑な顔をして戻ってきた。
その上興奮した様子で両手を顔の前に合わせて何故か謝る。
「おい信、ごめん！好みを理解していなかった！」
「あん？」
信はどういうことかと店主にバレないように中を覗き込んだ。
「おいふざけるなよ！ありゃ多分俺の相手のジーさんだろうが！」
『うちの店に何か御用？』
店の前で騒いでいると、突如話しかけてきた人がいた。
言わずもがな信がお目当ての相手だ。
貂は当の本人に横目で確認すると、さっきまでの勢いは何処へやら顔を赤らめて口が半開きである。
尾平や沛浪たちが見たら絶対に面白がる光景だ。
そんな固まっている信に対してオイ、何か言えよと小声で促した。
「お、俺は信だ！飛信隊ってとこの隊長やってる。久しぶりだけど…覚えてっか？」
『……えーとごめんなさい、ちょっと覚えが。』
今にも吹き出しそうな貂が口に手を抑えて顔を背けた。
その肩は小さく小刻みに揺れている。
言葉が続かず、どうすることも出来なかった信はまた来るから覚えておいてくれ！とだけ言い残し今日のところは引き下がることにした。
「で、向こうは覚えてなかったみたいだけどどうするんだ？温度差がありすぎるぞ。」
「これで明日も行けば覚えてるだろ？進展してんじゃねーか。」
信のこの楽天的なところは羨ましくもあるが、それが裏目に出ることだって多々ある。
例え裏目に出たところで本人が気付いていないのがまた幸か不幸か。
この先の展開が全く読めず行く末が気になっていた貂だが、戦後による昌平君への用向きがあった為に王宮へ戻って行った。
「さぁ〜て今日は貂もいねーし、気合い入れっか！って…ん？」
『ちょっと離して！』
「テメェふざけんなよ！」
一人で武具屋に向かっていると、何やら店先で揉め事が起きている様子だった。
見ると今から会いに行くはずだった店主といかにもガラの悪そうな体格の良い男。
その男は抵抗されないように手を掴み上げ何やら感情をぶつけているが、その怒号に周囲の人達もなかなか止められないでいる。
…が、信は考えるよりも先に行動に出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ずーみん(プロフ) - いちご飴さん» 慶舎と白麗、大変遅くなりましてごめんなさい！しかも白麗に至っては激甘というわけでもなく…ちょっと心残りなのでリベンジします。リクエストありがとうございました (2021年8月6日 1時) (
レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
天空うさぎ - ずーみんさん» そ、そんなコメントしてるだけなのに私はお礼を言ってもらっていいんですかね(///ω///)♪ (2021年7月23日 10時) (レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
ずーみん(プロフ) - 天空うさぎさん» いつも読んでくださってありがとうございます！毎度励みになっていますー！ (2021年7月22日 20時) (レス) id: 366da61a1e (このIDを非表示/違反報告)
天空うさぎ - ずーみんさん» 慶舎も読ませていただきました！漫画とは少し違った世界観が素敵な作品でした！もう大好k((殴 (2021年7月22日 12時) (レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
天空うさぎ - ずーみんさん» ↑名前を変えました。元堕紀です。とても良かったです！やはりずーみん様の作品にははずれがないな……(≧▽≦) (2021年7月11日 11時) (レス) id: f93ac5a74a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：プラリネ | 作成日時：2020年11月26日 23時
