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白々しく平然を装っていた

…顔が、手が、足が。




その兄の一言で一度に硬直し、

真冬なのに背中につらりと一筋の温ったい汗が流れたのを感じた。



今までジョングクのこと守りたいとか

そういう正義感で取り繕ってきたはずの感情が

この瞬間まさに自分自身への脅威に対する恐怖に変わっていた。



はじめて自分がなにかのセーフティーゾーンから外れてしまうような

得体の知れない恐怖が頭を支配し言葉も出ない。




「…ううん、何も説明しなくていいよ」

「………」



するとそんな私を哀れむように

オッパが優しい表情でそう言った。





「もう俺は全部わかってる

…お前らは早くに多くを知りすぎたって。


試されている時期にあんなの見ると辛いのは

誰でもそうだよな」

「…オッパは…何とも思わないの」

「…何ともって?」




隠さなければいけないはずのことが

彼の優しい表情についに心の引き出しから溢れ出てしまった。


きっと隠さなければならなかった。この時も。

でも、私はただ弱かった。



「…オッパはこんなこと良いって…思ってるの」

「だから何が言いたいの?」

「…たくさんの人を、…たった1人の尊厳のために…」

「たった1人?…あの人は他人とは平等な存在じゃないよ」

「…でも」

「…口答えするなよ…っ!!!」

「…っ」




はじめて聞くその大きな声と歪んだ表情に

まるで体が零下で振られたタオルのように凍りついた。



そういえば今まで私は誰かに怒られ慣れていなかった。

だっていつでもみんな優しかった。

そしていつでも私は後ろめたいことなどしてこなかった。


こんなの、私らしくなかった。





「やっぱりそうだったんだな、その反応。


ああ、…頼むよほんと…

お前とジョングクのこと今までずっと大事に育ててきたつもりだった

なのに何か間違ってたのかな…?


特にお前のことは本当に…可愛くて…

俺は…ずっとずっと…」



オッパがそう言って近づく。

どうすればいいかわからないまま私はただ突っ立っていた。



「…でもね、ひとつだけ方法がある…」

「……」

「お前を守る…方法がひとつだけ」




ふと目の前をキラリとなにかが反射した。

私はその鋭い光にゾッとする。




「や…やめ…」

「怖がらないで…何もお前にって訳じゃない。



…お前がやるんだよ。

そうすればまた賢くて聞き分けのいい妹に戻れる。お前が…」


「や、め………て……おねがっ…」






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ふうかい1210505956 - 今更ながら更新してほしいです (2022年2月4日 23時) (レス) @page35 id: b5861f5cf9 (このIDを非表示/違反報告)
れも - ホント今更なんですけどもう更新はないですかね… (2021年9月1日 21時) (レス) id: 44b2d7bf61 (このIDを非表示/違反報告)
annnnnnnna4(プロフ) - とても続きが気になります!更新頑張って下さい(^^) (2018年12月17日 1時) (レス) id: bb84cb866b (このIDを非表示/違反報告)
マリリン - こんな凄い話久しぶりに見ました!続きが早く読みたいです!いつ再開してくれますか? (2018年12月13日 16時) (レス) id: 211b9b7947 (このIDを非表示/違反報告)
ジェンナ(プロフ) - レモンさん» 今からは正直キツイですすみません! (2018年4月1日 23時) (レス) id: ccdc45a3c9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ジェンナ | 作成日時:2016年11月14日 23時

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