純情Lips. (ページ2)

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授業中。
勇太の席は一番前でその横の席の凛花ちゃんはクラス1？なんなら学校1なくらい可愛い子。

そんな凛花ちゃんは今日髪を切ってきた。

まぁ、可愛いわな。

「な、桜田！問２のカッコ３って何？」

「１４？合ってるかわかんない」

「１４？は？」

「だから分かんないって言ってんじゃん！聞く人間違ってますけど！！岸くんこそ自分で解きなよ」

「おい！桜田！授業中だぞ！」

ヤバい。クラス中の視線がわたしに向けられる。
もちろん一番前のあの二人だって。

凛花ちゃんの短くなった髪が振り返りざまに揺れる。綺麗なキューティクルに思わず見惚れる。

勇太と目が合う。

あっ、と思った時には勇太から無意識に目を逸らしていた。

「桜田は好きな人とかいんの？」

好きな、人。
好きと言えば多分まだ好きだ。

だけど認められない。
絶対に口に出したりしない。

だけど嫌いにもなれない。

心と体が同時に動かないってこういうことなんだろう、と思う。

心はまだ勇太の方を向いているのに、体がそれに反動しようとしている。

単純じゃないわたしが自分でも嫌になる。
勇太はこんなわたしを見たら笑うだろうか。

いやむしろ、笑ってくれたら上出来だ。

「•••いないよ、なんか私にはそういうの向いてないみたい」

「ふ～ん、てっきりぐうじさんでも好きなんだと思ってた」

勇太とわたしが幼なじみだってことを大抵の人が知っていて、それはわたしたちが仲良しだからとかお似合いだからとかそんな漫画みたいな理由じゃなくて単に勇太が目立つから。

でもろくにクラスで話したりしないのに”幼なじみ”ってだけでそう思われてしまうのはどうも悔しい。

勇太がわたしをただの”幼なじみ”って思っているのは当の本人のわたしも分かるくらいみんなに認知されている事だからわたしが岸くんを勘違いさせてしまうのは絶対に自分に原因があるのだから。

自分しか相手を意識していないのが明確になるのが恥ずかしかった。

「はっ！？そんな訳ない！変な事言わないでよ！」

「あっそういう系？それはごめん、だいじょぶだってぐうじさん今日掃除当番だから教室にはいないよ！」

動揺、した。

勇太の事を好きだと言われるのは嫌だ。

完全に認めるのなんて絶対に嫌だ。

ばかみたい。

未練タラタラじゃんか。