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第十二話 ページ13

やがて、家の前の畑から、人参がとれるようになりました。
この頃になると、紗南もかなり太りずしずしと歩き、痩せ細った狼牙はヘロヘロと歩いていました。

狼牙は早速、とれたての人参を紗南の元に運びました。

その人参を一口食べた紗南は、顔をしかめて言いました。
「何、この人参、甘みも少ないし、水っぽくて食べられたもんじゃないわ。」

「ごめん。肥料が少ないのかな…」

「もっと、しっかり作ってよね。」

「うん、でもさ俺、一生懸命やってんだ。それに、大好物の餌を目の前に、食べないでいる、俺の気持ちも少しはわかってよ。」

「何言ってるの。あのね、狼さん。私は最後に貴方に食べられちゃうのよ。私の気持ちこそ考えてよ」


紗南は遠くを見つめるように、喋り始めました。

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作者名:疾風みすと | 作成日時:2013年2月10日 18時

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