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第十話 ページ11

狼牙の目の色が、いつもと違っているのです。
「でも、俺もう腹減って我慢できないよ。
もう君は十分、太ってるしさ。」

「だーめ」

「ね、片っぽの耳だけでも良いからさ。」

「駄目だってば。」

「じゃ、耳の先だけ…。」

「きゃっ、痛いじゃないの。」
耳を少し噛まれて、紗南は叫び声をあげました。
「何考えてるの。大体、兎がどれくらいまで太るか知ってるの?」

「え?こ、これ位だろ?」

「あのね、美味しい人参を毎日食べ続けるとね。」
紗南は、狼牙の耳に口を寄せると、小さな声で囁きました。



「牛ぐらいよ…」

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作者名:疾風みすと | 作成日時:2013年2月10日 18時

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