夏の終わりに想うこと (ページ1)

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蝉の声がうるさいこの季節。

思い出すのは

1人の男の子と、1つの思い出。

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あれは、まだ私が5歳の時。

ゆらゆら揺れるロウソクの日に

私がはしゃぐ。

『こらA！

危ないから離れなさいっ』

目の前の誕生日ケーキにはしゃいで

お母さんに怒られたっけ。

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そして、私の隣には…

『Aちゃん、これぼくのケーキだよ？』

幼なじみの潤がいた。

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8月末に誕生日の潤。

物心ついた時にはいつも私の隣にいて

誕生日の時は一緒にお祝いをした。

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『潤くん、いいわね～？

サッカーボール貰って～』

私のお母さんが潤に言う。

潤『うん！でもねぇ、ぼくね？

サッカーボールよりほしいのあるよ』

『え、なぁに？おばさんに教えて？』

潤『ぼく、Aちゃんがほしい～！』

『あらっ？ Aをもらってくれるの？』

潤『うん！けっこんするの！ね？』

『うん！ A、じゅんとけっこんする！』

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あの頃は口を開けば「けっこんする！」って

話してたっけ。

まだ、この年じゃ結婚出来ないって

知った時は2人で泣いたなぁ。

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潤『おとなになったら、ぼくが

Aちゃんを、およめにするから！」

小さい小指を絡ませて

指切りげんまんをした。

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あれから20年。

未だ、指切りげんまんの約束は

果たされていない。

私の隣に、潤もいない…。

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