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羽織っていたシャツが空気を含んで、ふんわりと揺れる。薄いピンクのチークが珍しく頬の上に乗せられていて、誰も知らない人から見たら、ガールズグループのセンターみたいな、そんな感じ。
『調子は？』
「絶好調、見ててね」
くるりと回って、にこりと笑う。あの日の独り言に上手く返事が出来ないまま活動が始まって、くるくる回っていたおかげで少しだけ前髪が揺れて、通りかかったテイリヒョンが声をかけた。
「目にキラキラも付けてもらったの？」
「オンニが見せてくれたのが可愛くて」
「テヨンたちに見せてきな」
ちょうど戻ってきたテヨンのところに走っていくのを見ながら、ヒョンは俺の隣に座る。Aを見たまま具合悪いの治って良かったねと言うから、びっくりして思わずヒョンを見て、2回瞬きをする。
『ヒョンって意外と、』
「気付いてないって思ってたの？」
『いや、俺たち大分焦ってたし』
「俺はさ、ユタたちのお兄さんでもあるからね」
『…うん』
「悩んでたら、それを聞いてあげるくらいは出来るから」
スタンバイの声が掛かって、春の色を纏いながら廊下を歩いて行く。少しだけピンクを混ぜたブロンドは、桜のようだと話題になっていた。深呼吸の数が前よりも少なくなったことも、誰よりも分かっている。
『リラ』
「わ、びっくりした」
『まだ大人にならなくて良い』
「…いきなり？」
『大人って長いから、まだならないほうが得するよ』
「……我儘言うかもしれないよ」
『良いよ、なんでも言ってみな』
結局出てきた我儘は、誕生日に一緒にご飯を食べたいだった。ホールケーキを切らずに食べてみたくて、アイスクリームを3個食べたい。テヨンに言ってみれば、少しだけ眉を下げて、柔らかく笑う。Aはいちばんテヨンに褒めて欲しくて、テヨンに手を伸ばす。差し出された手をテヨンが握れば、すごく嬉しそうに笑うことを、俺は知っている。
「Aに会いたくなってきちゃった、さっきまで一緒にいたのにね」
『ジャニも誘って部屋行く？』
「もう寝てるかもよ？」
『ドラマ見るって言ってた、英語のやつ』
「じゃあポップコーンを差し入れしよう」
大きなソファーに4人並べば少し狭くて、だけど窮屈じゃなかった。コーラを持って、並べて写真を撮った。
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月21日 18時
