マーガレットを見つけた ページ7
○YUTA
そういえばここの番号は誰まで教えて貰ってるんだっけ。インターホンを押してから考えていたら、どうぞと声が聞こえてくる。覚えてしまった数字を押して、薄暗い部屋の電気のスイッチを入れた。
『熱は？下がった？』
「熱じゃないって言いませんでした？」
団体で活動しながら、1日だけ空いたスケジュールに合わせたかのようにAが体調を崩した。同い年3人とAだけのトークルームに病院行ってくると送られてきた瞬間にリビングに行けば2人もいて、ソファーにいたドヨンが不思議そうに俺たちを見ていた。
『これドヨンから』
「知ってるの？」
『俺たちが焦ってれば気付くって』
「…だよね」
見ていたドラマを止めて、机の上に置いてあった携帯をタップすれば、たくさんの通知が画面いっぱいに残っている。下を向けば顔が見えなくなるから、手を伸ばして額に触れる。午前中よりもすっきりした顔をして、握られた手も冷たかった。
『ヘチャニも電話かけてた、さっき』
「こんな声で出られないよ」
『…明日から本当に出れんの？やめとく？』
「大丈夫、寝たら治る」
机の上のゼリーは少しだけ食べられていて、Aがタッパーの蓋を開ける。キッチンにずっといるから何してるんだろうって思ってたけど、玄関まで歩く途中に声をかけられた。「Aに持って行って」と託された中身は好きなものしか入っていなくて、少しだけAの頬が緩む。
『心配してたから、大丈夫って言ってあげな』
「ねえオッパ」
『うん？』
「独り言だから適当に返事してね」
『それは無理があるけど』
「大丈夫、別に大事なことじゃないから」
携帯を裏返しにして、止まっていたドラマが再開される。英語に字幕が付いていないからただそれを眺めていれば、小指だけを握られた。
「大人になりたくないんだけど、どうすれば良いかな」
『…もう子供じゃないって言ってなかった？』
「子供には、子供なりに色々あるんだよ」
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月21日 18時
