アイスクリームミュージック ページ3
○JUNGWOO
いきなり涙が溢れてしまって、止める方法なんてわからないまま、ドヨンイヒョンが心配そうに隣にいてくれている。昨日まで、ううん、さっきまでは何ともなかったはずなのに。Aちゃんと、頑張ろうねって言ったばかりなのに。
「オッパ」
「リラ？どうしたの」
「マイクの調子が悪くて、スタッフさんのところに行ってきます」
「あ、マークが誰かと一緒に」
「大丈夫、すぐそこだから」
そっちを向く前にAちゃんはパタパタと行ってしまうから、顔も見れなかった。いや、この顔は、見せたくないかも。また鼻を啜ったら、ドヨンイヒョンが頭を撫でてくれる。
「リラ、冷たい訳じゃないよ」
『うん、分かってます』
「いつものAじゃないって思うかもしれないけど、さっき、ありえないくらいに手が冷たくて」
『…リラちゃんが？』
「これじゃ逆に心配かけちゃうって」
何とか涙を止めて、ステージに立つ前に、リラちゃんが隣に並んだ。客席を見ればたくさんのファンの人たちがいて、段々と声が大きくなる。
「こっち向いてください」
『え？』
「イヤモニ、捻れてて、」
『あ、ありがとう』
「これ付けたら、何も聞こえなくなります」
『…うん？』
「たくさん練習した曲しか聞こえないから、大丈夫」
冷たい手が、耳に触れた。そのまま先を歩いて行って、ライトがリラちゃんを照らすから、思わず目を細めた。曲の初めで向かい合ったとき、カメラに映らないように、にこりと笑った。
宿舎に帰る間にリラちゃんに話しかけたかったけど、テヨンイヒョンと話をしていたから、明日にしよう。いずれ僕は、リラちゃんと肩を並べて、2人でにっこりと笑えるようになるのかな。明日は、リラちゃんの手を少しでも暖かく出来るように、なったらいいな。
『…よし、』
「よし？」
『ちょっと、気合いを入れてみた』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 981人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yom | 作成日時：2023年6月21日 18時
