月にウインクをしてみる ページ19
○JISUNG
「声が出ない？」
ロンジュニヒョンが驚いた声でそう言えば、リビングにいたジェミニヒョンが玄関の方に顔を向けた。「誰が？」と言った声に着いていって、ヌナと目が合う。おはようございますと言ったけど、こくこくと首が動いただけで、顔がすごく困ってる。
「声出ないって、いつから？」
「A？昨日からやっぱり喉おかしかった？」
「昨日？」
「高い音が出しづらいって」
「そうなの？」
「……今日の朝、突然出なくなって」
「ああ、無理しないで」
無理をしないでと肩に触れたジェミニヒョンが、マスクをしているヌナのおでこに手を当てる。熱は？と聞いて首を横に振って、さっき少しだけ話してくれた声は、今まで聞いたことないヌナの声だ。苦しそうに咳をしたあと、持っていた携帯の画面を見せてくれた。
「今日が最後なのにごめんなさい。頑張るから一緒に行かせて…本気？」
『ろ、ロンジュニヒョン』
「俺たちよりマクヒョンがダメって言うと思うけど」
「ヒョンには言ったの？」
「なに…許してくれた？本当に？」
ロンジュニヒョンの眉が顰めるのと、ヌナの顔が泣きそうになっているのを見ていたら、ジェミニヒョンがお互いの肩に触れた。落ち着いてと言って、咳をしたヌナがごめんねと、困ったように眉を下げる。
「…俺もごめん、でも心配だから」
「とりあえず病院行こう、ね？」
「うわ、！びっくりした」
『わ、ヘチャニヒョン？』
「ここで何してたの？A借りていい？」
『ヌナを？』
「ドヨンイヒョンが連れて来てって。あと病院行くから」
ヌナの腰に手を回して持ち上げたヘチャニヒョンにジェミニヒョンが着いていって、ガチャリとドアが閉まる。大きく一度息を吐いたロンジュニヒョンは、振り返って僕と目を合わせた。
「チソンも準備しなきゃ、もうすぐ迎え来るよ」
『あ、うん』
「…さっき怖かったかな」
『え？あ、いや…』
「でもさ、A無茶しそうだったから」
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月21日 18時
