lilac 2 (ページ17)

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トマトとクリームページ17

○DOYOUNG

少し前まではずっと暗い顔をしてたけど、最近はそれが減って、マークとも2人で話すようになった。ご飯食べようとAを誘ったはずが、出前をもらって帰ってくれば隣にヘチャンが座っている。

『いつの間に？』

「オッパが下に降りてすぐくらいに」

「俺はAを迎えに来たの」

「まだ1時間くらいあるよ」

オッパありがとうと袋を受け取ってくれて、これ食べる？とヘチャンにご飯のパックを渡した。じっとヘチャンがAのことを見ているのは少し気になるけど、まずはお腹を満たすのが先だ。

「それも食べたい」

「この前飽きたって言ってなかった？」

「今日は飽きてないの」

『ヘチャナ、俺の食べる？』

「ううん」

確かに俺とAは違うご飯を食べてるけど、ちらりとこっちを見ただけで、すぐにヘチャンの顔はAの方に戻ってしまった。そのまま何も言わずにAも横を向いて、じっと2人で視線を合わせたまま、スプーンに掬ったご飯をヘチャンが食べるまで、その数分があまりにもゆっくりと流れていた。

「美味しい？」

「うん、もうひとくち」

「自分で食べて、わたしお腹いっぱい」

「全然食べてないじゃん」

「食べたって」

「この前だってそう言って、」

「わ、」

Aの手から滑り落ちたスプーンが、べとりとTシャツにゆがんだ丸を作る。カシャンと床に落ちた音と同じくらいにヘチャンが机の上のティッシュを取って、Aと距離を詰めた。

「すぐ落とさなきゃ、丸く残るよ」

「うん、」

「違うシャツある？」

「多分、鞄の中に」

「着替えてきな」

こくりと頷いたまま、ちょっと行ってきますと俺と目を合わせて、途端にその場が静かになる。床のスプーンを拾って、どうしたの？とヘチャンがこっちを向く。はじめて自分が、ヘチャンをじっと見ていたことに気付いた。

『あ、いや』

「やっぱりヒョンのも美味しそうだねえ」

『…食べる？』

大きな口を開けて、ぱくりと音が鳴りそうなくらいにご飯を食べて、口の端に付いていたソースを拭いてあげる。こうしていると弟のようなのに、さっきはまるでAの兄のような、テヨンイヒョンがAの世話を焼いている時みたいな、それと同じ感じがした。