lilac 2 (ページ15)

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ピーチメルバページ15

○TAEIL

『で、まだマークとぎこちないんだ』

アイスを食べようとしていた口が、開いたまま固まる。テヨンが髪を撫でたら、それに擦り寄るみたいに目を瞑った。

「ここで寝たらダメだよ」

「…うん」

『アイスもういらないの？』

「食べます、全部」

会社全体のコンサートで日本に来て、俺とテヨンの部屋にマネヒョンから預けられた(そのまま言ったら怒るけど、この言い方が絶対正しい)Aは、ゆっくりと瞬きをしてからこっちを向く。

『なあに？』

「知ってたんですか？」

『俺は何でも知ってるよ』

「何でも？」

まあ大体はヘチャンから聞いたんだけど。「マクヒョンとAがぎこちないんだけどヒョン何か聞いてない？」と、俺だけに聞こえるように小さな声で話すヘチャンの頭を撫でながら、練習室の両端にいる2人を見つめた。2人とも仕事やパフォーマンスをしている時は普通だけど、2人だけでいるところを、最後に見たのはいつだろう。

「…なんか、」

「なんか？」

「話したら泣いちゃいそうで」

『マークと？さっき話してなかった？』

「あれは動線の確認だったから」

「…寂しい？」

「寂しいよ、すごく」

溢れてしまった涙をテヨンが掬って、ぎゅっと抱き締めた。大丈夫だと首を振るけど、背中を摩っている手がリズムを奏でるみたいに動けば、いつの間にか静かになる。寝ちゃったとこっちを向いたテヨンが、眉を下げて笑った。

『もうここで寝かせよう』

「マネヒョンに怒られないかな？」

『じゃあジャニでも呼んで運んでもらう？』

ドアをノックする音が聞こえて、ドアに付いている小さな窓を見れば、ジャニが立っていてドアノブをひねる。テレパシーとか使えたりする？と思わず聞けば、眠いの？と変な顔をされた。

「マネヒョンに会ったんだけど、Aを迎えに行ってくれないかって」

「ヒョンは？」

「まだ打ち合わせだって」

『じゃあ俺も一緒に送ろうかな』

起きてとジャニが言っても目は開かなくて、仕方ないねと言って持ち上げるけど、なんでこんなに軽そうなんだろう。思わずAの手を握れば、きゅっと握られてしまった。