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チョコレートを手に握らせて、一緒に渡された絆創膏を膝に貼る。小さなひよこが描いてあって、Aがぱちぱちと瞬きをした。
「オッパみたいだね」
『これが？』
「うん、そっくり」
『…なんか納得いかないけど』
扉の外は騒がしいけど、ここはなんだか、ゆったりと時間が流れているみたい。空いていた隣の席に腰を下ろせば、わたしを迎えに来たんじゃなかったの？とAは少しだけ呆れていた。
『ちょっと休憩、あっち人いっぱいだから』
「打ち合わせは15時からでしたよね？」
『うん、多分』
「多分？」
『本当にやばくなったら迎えが来るよ』
「オッパ、休憩しにきたの？」
『ううん、Aを待ってあげてる』
またふわりと笑って、鼻を啜るから距離を詰めた。乾いたから着てみてと言われたシャツを羽織って、鏡の前でくるくるとまわっているのを見ていたら、外から俺たちを呼ぶ声が聞こえる。入るよと開いたドアの先にはドヨンイヒョンがいて、Aも目を丸くした。
「お、オッパ？」
「あれ？立てるの？」
「立てるの…？」
「戻ってこないから、転んで痛くて動けないんじゃないかって」
「待って、どこから聞いたんですか」
「誰から聞いたんだっけ、えっとね、」
「分かりました、とりあえず戻りましょう」
話しているのを見ていたら、振り向いたAが手を引っ張って俺を立たせて、ドヨンイヒョンのところに連れて行く。見てくださいとひよこの絆創膏を見せて、ここだけですと言って廊下に飛び出したから、引っ張られていただけだった手を少しだけ握ってみる。
「…離さないの？」
『転んだら痛いからね』
「さっきも転んでないですよ」
「それウィンウィンに似てるね」
「ほら！可愛いって」
いつの間にかドヨンイヒョンとも手を握っていて、楽屋に戻る途中でテヨンイヒョンがこっちに向かって走ってきていた。俺たちを見つけて、誰よりも柔らかい顔をする。4人で帰る途中で、チョコレートをみんなで食べた。
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作者名：yom | 作成日時：2023年6月21日 18時
