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カベルネside
ポアロという店から出てきた幼女を、車で追いかける。おそらくあの『女』は気づいてる。
だから自分から路地裏に行ったのだ。
「……久し振りね、『神流』」
艶やかな黒髪と、黄金の瞳に、白い肌。
おまけに顔も整っている。
神流。そう呼ぶと、目を細めて笑った。
「要件は何かしら?」
「決まってるでしょう、一の記憶を戻して」
「あら、それは無理なお願いね」
黒い着物の袖で、口元を隠しまた笑う。
やはり『此奴ら』には心という物が無い。
「っ……でも、」
「貴方も知っているでしょう?彼は自分自身で逆行を選んだのよ?それもあなたの記憶を保存したまま……あの代償は絶対だわ」
身体の一部を持って行かれなくて良かったわね。そう神流は言う。
あたしが彼奴をセーフティーハウスに監 禁したのは、彼奴の身体を守るため。
もしかしたら、腕を失っていたかもしれない。
目を失っていたかもしれない。
脚を失っていたかもしれない。
あたしはそれが怖かった。
唇を噛み締める。
血の味がした。
「お前らは化け物だ」
「そうかしら?」
「くそっ……くそっ!!!!!」
その場に崩れ落ちる。
コンクリートと地面を目一杯叩いた。
「ふふふ、まぁ、安心なさい。『希望』を与えてあげたから」
「そんなの……」
「これから話す事は、信じるか信じないかは、あなた次第になるわね」
私は、神流とのゲームを始める。
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作者名:ランコ | 作成日時:2018年12月22日 15時