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一side
カベルネに強烈な拳と蹴りを受けて眠ってから、恐らく6か7時間。外が明るいから、その位だろう。
今俺は餓鬼二人に監視されている。
何処も縛られていない為、逃げるのは容易い。
と、思っていた。
扉に近づこうとすると、あの餓鬼二人が阻止してくるのだ。大人と子供の力じゃもちろん大人が勝つはずなのだが、この餓鬼共俺より力が強い。気持ち悪い。
カベルネといい、この餓鬼二人といい……。
本当に人間か疑う。
次は体術で行ってみよう。
ごり押しは駄目だったから。
先ずは赤毛の餓鬼からだ。
蹴りをくらわせる。
入った!と、思ったが、腕で阻止されていた。
「はぁ!!?」
これには俺もびっくりだ。
赤毛の餓鬼は、ニヤリと笑い、脚を掴むと、そのまま、ベッドへ投げやがった。
「いい加減、学習しろよ」
濡烏の長髪の餓鬼が言う。
赤毛の餓鬼は、それに加わるだけだった。
「っち……」
何が目的で、カベルネは俺を攫ったのか。
何故餓鬼達がカベルネと同じ赤い瞳をしているのか。
疑問は降り積もっていた。
「……お前ら、名前は?」
赤毛の餓鬼が答える。
「名前? ミツカだよ!蜂蜜の蜜に、香りの香で、蜜香!でね、こっちが……」
濡烏の餓鬼が遮り、自分で名乗った。
「俺はリト。片仮名でリトだ」
「お前らは、監視役か?」
「うん!」
なる程、やはり監視役だったか。
「カベルネとはどういう関係だ?」
「んーとね、お母さん!」
カベルネに子供がいたのか……それにしても似ていないな。カベルネは黒髪だったが、青みを帯びていない。それに対してリトは青みを帯びている。蜜香も相手が赤毛なら説明がつくが、顔も似ていないし……。
もしかすると孤児なのかもしれないな。
「お前らは、孤児だったのか?」
「こじ……こじ……って、何?」
蜜香は孤児を知らないらしい。
となると知的なリトに聞くしかないな。
リトを見ると此方を無表情で見つめていた。
「お前らは孤児だったのか?」
「ああ……」
「(やはりそうか……)何故、お前らはそれ程までに身体能力が高い?カベルネと俺じゃあ筋肉の付き方も、俺が有利だったはず。なのに彼奴は……」
遮るようにしてリトが言う。
「その質問に関しては受け付けないぞ。それに、俺達の事を根掘り葉掘り聞いても、『記憶の無い』お前には無意味だ」
「どういう……」
「そのままの意味だ。ちなみにお前が此処に連れられた意味もな」
此奴は相当頭がいいらしい。
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作者名:ランコ | 作成日時:2018年12月22日 15時