【名探偵コナン】罪滅ぼし (ページ16)

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バーボンside

親父は自分の名前を知らないと言い切った。
それもこっちを真っ直ぐと見て。

「そう、ですか……」

心が沈んでいった所で、ある一人の幹部の顔が浮かんでくる。

──『あなたがバーボン?』

──『ええ。あなたは……』

──『あたしはカベルネ。あなた、今度一と組むんでしょう?終わったらお話する時間をくれないかしら?』

──『一……その一という人物とまだ組みませんが、組むというなら、わかりました』

艶やかな黒髪と、黒く濁った瞳。
酷く整った顔をした女だった。

カベルネ。

その幹部を、一度噂で聞いたことがある。
確か情報技術に関しては腕の立つ幹部だと。

そして、彼女にかかれば情報で組織を潰せるとも。本当かどうか定かではないが。

「カベルネ?」

「はい。知っていますか?」

「いいや。ま、会ってみるか」

数十分経過したところで、あるホテルの一室へと向かう。

「では、一、僕はここから入れません。終わったら連絡してください」

「ああ」

そう言って入っていく親父。
その背中を見つめながら、近くの駐車場に止めた車へと戻った。

「……」

疑問。

それが頭の中を埋め尽くす。

ああ、頭がごちゃごちゃして、こんがらがってきて、痛い。

「家に帰ったら整理してみるか」

溜め息を今日初めてついた。