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降谷 Aside

バーボンという幹部と共に、初仕事。

大丈夫だろうか、上手くいくだろうか?
そんな不安は特に積もらない。

それよりも今、俺が気になっている事がある。

それは、『自分が何者か』だ。

寝ていたのか、目を覚ました頃にはもう既に、自分の名前、年齢、過去、全て、綺麗さっぱり消えていた。

思い出そうとしても、頭に靄がかかったように、思い出せない。なんなら、頼れる友人も忘れてるわけで、携帯の電話にベルモットと表示された奴に、何回も電話をかけた。



──『あんたが、ベルモット?』

──『!?……そうだけど、なによ……』

──『……俺とあんたは、知り合いなのか?』

──『冗談言わないで……頭でも打ったの?』



記憶が無いことを知ったベルモットは、とても焦っていた。何故なのか、という質問攻めまであったくらいだ……。

漸くして記憶が無いことを認めたベルモットは、俺のプロフィールを書いてくれた。

名前 一(はじめ)

年齢 36

職業 犯罪者

驚いたのは、自分が犯罪者だったという事。
見たところ身体を鍛えていたようだったから、警察系の仕事についていると思ったのに。

プロフィールを書いてもらった所で、不安が全て消えるわけじゃなかった。

自分は記憶喪失で、それを知られたら、もしかしたら騙されるかもしれない。

だから、本当に自分が何者か知る必要がある。



「一、行ってください」

「わかった」

出来るだけ、弱みは見せてはいけない。



「これか……終わった」

『わかりました』

パーティーを抜け出し、車でバーボンを待つ。

時計を見ると夜の九時。そこまで遅い時間ではない。それに成功。

数分もすればバーボンも車を見つけ、運転席へと座った。

「成功だな」

「ええ……一」

「なんだ」

「あなたは……降谷 Aという人物を知っていますか?」

「……いいや、名前すら聞いた事がない。次のターゲットか?それとも組織内の……?」

嘘だ。

本当はどこか引っかかる。
心に何かが絡んでくるような……。

でも不快感は無い。
不思議な事に、そいつを知っている。

でも思い出せない。
靄がかかって、何もかも。

「そうですか……そういえば、カベルネという方が、あなたを会いたいから時間をくれと言っていますよ」

「カベルネ?」

そいつもまた、聞いたことのあるような名前。

性別は女ではないだろうか?
しかしこれは勘である。

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作者名:ランコ | 作成日時:2018年12月22日 15時

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