第1章 ページ2
『それ』を見つけたのは、『それ』の親の葬式の時だった。
正直面倒臭いし、行きたくも無かったし、まずそもそも面識すら無かったものだから、行く意味を見いだせない。それが本音。
それに加え、親戚は自分から見て何奴も此奴も口うるさく、屑ばかり。
「クソ面倒臭ェ」
真っ黒なスーツを着て玄関に行くと、親戚一同はわちゃわちゃと煩く集まっていた。
「もう直ぐか」
時計を見るとあと十分。
十分で葬儀が始まる。
自身の席につき、死人の子供を見る。
ハーフか何かか、眩しい金髪に、整った顔。
それに加え死んだ目をした餓鬼。
「(なる程、此奴か)」
餓鬼は俯いていた。
それは泣いているのか、ショックを受けて泣いていないのか、それとも、何も思っていないのか。
周りの親戚はコソコソと愚痴だの差別だの軽蔑だのの視線や言葉を小さな餓鬼に浴びせていた。
「(大人気ねーなァ)」
おそらく、あんな小さな餓鬼がこれほどの視線やら何やらを受けるのは骨がさぞかし砕けるだろう。
まぁ、自分の知ったこっちゃない話だが。
葬儀が終わり、次は餓鬼を誰が引き取るかという話に移った。
面倒臭いのは此処からが本番で、
やれ「自分は経験不足」だの、
やれ「子供が多いから金不足」だの、
兎に角面倒臭いといったら極まりない事で、
余りの暇さに欠伸が出てしまった。
それを聞いたのか、本家様のリーダー、降谷
正一の妻の妹、浅葱 舞が憎たらしい笑顔で言った。
「Aさんはどうでしょう?彼は独身と云えど、しっかりしてますし…」
浅葱 舞の親族がそれだっ、と思いついた顔で、此方に押しつけようとまくし立て出した。
周囲を見回すと、誰も目を合わせようとしない。つまり、自分に全て押し付けられたという事として解釈しても問題ないらしい。
「(面倒臭ェ事になったなァ。ま、いっちょ嫌みでも吐いて帰るか)はぁ」
Aはわざとらしく溜め息を吐いた。
舞は勝った!と誇らしい笑顔を見せる。
「ええ、構いませんよ。しかし…歴史の深い降谷家の皆さんは…『貧乏』しかいないんですねぇ」
ほくそ笑んだ。
それに降谷家の親族やら親戚はピシリと固まる。
「金が無いやら、経験が浅いやら…挙げ句押し付け合いですか。何とも『見苦しい』」
「な、何ですって!?」
それに浅葱 舞と親戚やら親族はキレる。
さて、終盤か。
「いいですよ。『金に困ってる』なら私が引き取りましょう」
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作者名：ランコ | 作成日時：2018年12月22日 15時
