カラフル (ページ3)

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将来の夢ページ3

貴久Side

今日は、小山のところと一緒に夕飯を食べる日で、二人で小山の部屋にお邪魔している。

俺らも楽だし、シゲ達も喜ぶから一石二鳥だ。

「ねぇ、慶にぃは、大きくなったら何になりたかった？」

夕飯を食べ終わりテレビを見ていると、唐突に祐が言い出した。

「うーん、野球選手かな？
…なに？そのがっかりした顔は。」

「普通だなーって。」

聞いておいてそれかよ！！

「兄ちゃんは、何になりたかったの？」

なに？将来の夢を聞くのが流行ってんのか？

「俺は、体育の先生。」

言った瞬間、シゲが顔を輝かせた。

「体育の先生？！
兄ちゃんが体育の先生だったら、体育の時間も楽しいのになぁ…
ねぇ、今からなってよ！」

可愛い…なんだこの可愛い生物は…

「っすー、まっすー！顔がキモいことになってるよ。」

危ない、小山からこんなことを言われるなんて不覚だ。

もう少しシゲの可愛さに浸っていたかったのに…！

「お前だって、こんなこと言われたらこうなるだろ。」

恥ずかしさを散らすように言う。

「ま、俺なら即死だね。」

…さらに上をいったか。

「で、どうしたの？急にそんなこと聞いて。」

「今日学校でね、大きくなったら何になりたいかっていう作文したの！」

元気よく小山に返した祐の言葉に、やっと納得がいく。

「兄ちゃんも見たいから、持ってきてよ。」

そう言うと、2人とも走ってプリントを持ってきてくれた。

『ぼくは、大きくなったら本をかく人になりたいです。』

シゲ、本が好きだもんな。

担任の翔先生からも、そんなコメントと応援をもらっている。

いつかシゲが本を買ったら、ムチャクチャいっぱい買って、布教活動するんだろうな。

しばらく浸っていたが、隣で小山が吹き出したから現実に戻った。

「なに？そんな面白いこと書いてた？」

覗き込むと、飛び込んできた文字に俺も吹き出した。

『ぼくは大きくなったら、かみさまになりたいです。』

「何？新興宗教の教祖？」

笑いすぎて涙が出てくる。

「俺も、ビックリ。
てっきりサッカー選手かなんかだと思ってたのに、人間ですらなかった。
そんな思考も可愛い。」

もう末期だ。

俺にも小山にも爆笑されて祐は頬を膨らませているけど、爆笑させてくれ。

そして、何が凄いかって言うと翔先生がちゃんとコメントを返しているところだ。

『いっぱいべんきょうして、いっぱいたべて、かみさまみたいになれるようにがんばろうな！』

シゲ、ゴメン。やっぱ俺、先生にはなれないわ。