小山家の朝 ページ1
慶一郎Side
今日も可愛い俺の天使を起こしに行く。
「ゆーう！起きてー！」
「んんっ…ねむたい…」
起こされて不機嫌になってるところも可愛い祐は、小学1年生。
両親は海外で仕事をしているから、社会人の俺と二人暮らしだ。
「学校、行くんでしょ？」
「行くぅ！」
学校行きたさに飛び起きた祐は、ぴょこんと寝癖をつけている。
それがまた可愛くて、頬が緩む。
「よし！朝ごはん出来てるから食べよう！」
「うん！」
ってお返事は良いんだけど、食が細い祐はあまりご飯を食べてくれない。
「ゆーう、ご飯ちゃんとたべない子は学校行けないよ？」
「いいもん、行くもん！」
椅子から飛び降りて着替えに行こうとする祐を、抱っこで椅子に戻す。
「コラコラ。ほら、あーんして。」
こういうところが、まっすーに言わせりゃ甘いんだろうな。
見かけに反し、しつけにうるさい親友を思い出して、苦笑いした。
でもこんなに可愛いんだもん、甘くもなるよ。
渋々朝ごはんを食べた祐に、今度は身支度をさせる。
シゲが迎えにくる時間まであと15分。
急がないと、時間は小学生のうちに守らせるようにしろって、俺がまっすーから怒られる。
「ねーねー、ピカチュウかヒトカゲ、どっちがいいかな？」
祐は、2つの靴下を前に可愛く首をかしげ悩みこんでいる。
どっちでもいいから、君も少し急ごうか。
俺も、自分のことしなくちゃ。
鏡の前に立ち、寝癖を治そうとワックスを手に取った。
「あぁーーー！！」
なぜかワックスに、何かよく分からない木の実のような物が埋まっている。
後ろで犯人から嬉しそうに笑われれば、溜息をつくしかない。
いや、祐のためにもここはちゃんと叱らなきゃ！
「祐、慶にぃの物にイタズラしちゃダメでしょ！」
「慶にぃ、時間は？」
「……あ！！」
シゲが迎えにくる時間まで5分、俺が家を出なきゃ遅刻する時間まで10分。
叱られないという自信から、祐はしてやったり顔だ。
帰ってきてから叱られるという思考は、どうやらないらしい。
「おはよー」
ヤバ！シゲが来ちゃった！！
「おはよ！祐、シゲ来たから早く！」
「シゲおはよ！」
大きなランドセルを背負った祐が出てくる。
「忘れ物ない？」
「たぶん！」
自信満々のたぶんに、逆に不安になる。
可愛いんだけどさ。
「いってらっしゃい！」
「行ってきまーす！」
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作者名：ストロベリー | 作成日時：2019年6月30日 18時
