邂逅 . 8 ページ8
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あの人と出会って幸せだと思った事は、勿論ある
最初の頃は全てがかけがえのないもので
自分の弱さが原因で出久から逃げた私の心の傷を
癒やしてくれる。そんな人だった
この人となら結婚だってできる
私を置いて何処かに行ったり消えたりなんかしないって
なのに彼は私を置いて何処かに行ってしまった。
消えてしまった。
わたしが、いけなかったのかな
「 わ、たし、すっごくわがままだよ 」
「 うん 」
「 ……大好物のぷりん、たべられたらすぐおこるし 」
「 うん 」
「 たまにごはん、外食で済ませようとするし 」
「 うん 」
「 早起き、にがてだし 」
「 うん 」
「 女の子の日にきげん悪くなるし 」
「 うん 」
「 すぐあまえるし 」
「 うん 」
「 急に拗ねて、きらいとか言っちゃうかもしれない 」
「 それでも、いいの…？ 」
「 いいよ 」
嬉しそうに、彼は笑って
私の涙を拭う
拭っても拭っても溢れ出てくる涙を
抑えることはできなくて
「いいよ。たくさん泣いてよ
ぼくの前だけ」
と言葉をかけられ
私は彼の胸の中でひたすら泣いた
何処かで気付いていたのかもしれない。
彼に他の女の人がいることを
愛する人が浮気をしているかもなんて
考えたくなくて
ずっと何も考えないようにして
逃げて現実から目を逸らしていただけ
わたしは逃げてばかりだ。
「 ふたりで、幸せになろ 」
「 っうん、、 」
だけど今度は逃げない。
ちゃんと向き合う
それが唯一私にできる贖罪だと思うから
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作者名：shiro | 作成日時：2022年5月15日 10時
