真実の愛は海の底に (ページ9)

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7話ページ9

エースside

リドル「それじゃあ、愛海の誕生日を祝して、乾杯！」

らしくない音頭をとるのは、ハーツラビュルの長である
リドル寮長。
そして、その隣で微笑むのはオンボロ寮の愛海。

立場の似合わない二人をよく思わない輩だって
いないとは言いきれない。

その証拠に、チクチクと刺さる視線が1つ、2つ、3つ、、

ちいさくため息をついて、2人を睨む寮生に
視線をすべらせる。
視線が交わると同時に小さく双眸を細めれば
ぴくりと相手の肩が跳ねる。

きっと、バレるだなんて思っていなかったのだろう。
考えの浅い奴らだな。

そんなことを思っていると、こちらに駆け寄ってくるのは今日の主役ーー愛海だった。

愛海「ねぇ、このタルト、エース作なんでしょ！？
めっちゃ美味しいよ、ありがとう！！」

勢いよく飛びついてきた愛海を受け止めると
嬉しそうにこちらを見上げる瞳と視線が絡む。

いつもより近い距離と甘い匂い。
これは、やばい。

エース「あ～、、まぁな。」

顔を背け、そう返すとえへへっと笑う愛海。

愛海「私、前の世界では虐められてたからさ、、、
こんな風にみんなにお祝いしてもらうの初めてで。
すっごく嬉しい！」

エース「へ～、、そう、か。」

嬉しそうな愛海から発せられた一言。
思わず聴き逃しそうになったが、今、虐められていたと
言っていた気がする。

いや、まさか。でも。

混乱した頭を落ち着けようとリドル寮長の方を見ると
俺同様ぽかんと口を開けた顔が目に入った。

やっぱり、聞き間違いじゃない。