20話 ページ22
目を覚ますと、そこは見なれた教室だった。
扉を開ける音と共に入ってきたのは
私と愛海を虐めていた主犯の女子生徒。
あぁ、
どんな暴言が飛んでくるのかと待ち構えていたのだが。
「玻璃、いつまで寝てんのよ!
今日は放課後出かける約束してたでしょ!」
掛けられた言葉は想像していたものよりもずっと
親しみが込められたもので。
そう、まるで友達に対する言葉のような、、、。
「ちょっと玻璃〜、聞いてる?今日はアンタの
誕生パーティーなんだからね。
しっかりして貰わないと困るよ!」
私が考えている間にも彼女は私の腕をとって
歩き出す。
そこは、いつも愛海が居たところ。
そう考え、ひとつの可能性にたどり着いた。
玻璃「ねぇ、愛海は?」
「は?愛海?誰それ。今日のパーティーメンバーには
いないけど。」
尋ねれば、返ってきたのは予想どうりの答え。
やっぱり。
この世界で、愛海だけがいない。
それが意味するのは。
今、目の前にいる彼女と仲が険悪になったわけ。
それは、愛海が原因だった。
愛海が彼女の恋人を盗ったのだ。
もちろん無意識で。
それに激昂した彼女が愛海といつも一緒にいた私に
嫌がらせをしたのだ。
直接愛海を虐めると、彼にバレてしまうと踏んで。
だからその原因となった愛海が消えた今。
私たちの関係性も変化したというわけだ。
玻璃「あ〜、なるほど。」
それにしても、私は愛海にどれだけ
振り回されていたのだろう。
この世界では虐められ、向こうの世界では
命を落とす原因となった。
まぁ、全て自分の意思でやった事。
これが私の愛のカタチなのだから、別にいい。
「ほら、玻璃!ボーッとしてないで!」
隣でぶつくさ言う彼女の頭を撫でて。
玻璃「そうだね、行こうか。」
教室を出て、歩き出す。
暗くなり始めた街を反射する窓。
それを何となしに見ていたその時ーー
二人分の人影が、見えた気がした。
それは、たった一瞬のこと。
もしかしたら、私の見間違いかもしれない。
けれどきっと二人はどんな傷を負っても
本当のハッピーエンドをつかみに行くだろうから。
何も心配いらない。
歩き出した少女は、二度と振り返ることは無かった。
めでたし、めでたし、、、?
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作者名:楪 | 作成日時:2022年4月30日 13時