真実の愛は海の底に (ページ21)

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19話ページ21

玻璃「勝負の切り札は、ハートのエースじゃない。
ジョーカーなんだよ。」

エース「は、、？」

呆けた彼の顔を両手で掴んで引き寄せる。

目の前にある紅い瞳が更に見開かれて。
柔らかい感触もつかの間。

タタンッと崖の端に躍りでる

玻璃「私の事を、忘れないで。」

私は、怒っているのだ。
あの夜、私の恋心を誤魔化そうとしたことに。
だからこれくらいの意地悪、受け止めてよね。

そう微笑むと、身体を後ろへと傾ける。
宙に浮いた私を捕まえようと必死に伸ばされる
２本の腕。

私はそれを、払い除けた。

？？「汝の愛する者の名を告げよ。」

聴こえないはずの声が、耳元でこだまする。

玻璃「私が、愛する人はーーー。」

答えた直後。

上に伸ばした腕がキラキラと泡になって消えていく。
私を受け止めた波が日差しを反射して
輝いている。

その先に見えたのは、こちらに手を伸ばして
大粒の涙をこぼすデュースと
同じような顔をして彼を必死に押しとどめる
エースだった

玻璃「最高の誕生日プレゼントだよ。ありがとう。」

デュースには、悪い事をしたと思っている。
こんな形で巻き込んで、結果、傷つけてしまった。

けれど、強い彼だから。

私を忘れて幸せになって。

傲慢で、自分勝手な願い。
だけど、それでいい。それがいいのだ。

所詮、私も彼も、あの子も、ヴィランなのだから。