16話 ページ18
アズール「僕もそう思います。
ですから、今はせめて愛海さんとフロイドに穏やかに
過ごして貰えるよう隔離しています。」
玻璃「弱っていく彼女を見守ることほど
残酷な事もないと思いますけど。」
静かに目を伏せた彼にそう告げると
分かっていますよ、と顔を歪ませる。
アズール「声を奪った挙句、命までも奪おうなんて。
海の魔女の慈悲の心を見習って欲しいものです。」
玻璃「海の、、、魔女。」
プツンッと音がして、何かが繋がる。
玻璃「、、ペンダント、、、真実の愛、、、薔薇、、」
私は、知っている。
どこかで聞いたことがある。
？？「対価はお前の美しい声さ。」
？？「薔薇が落ちきるまでに真実の愛を見つけないと」
？？「真実の愛が氷を溶かすでしょう。」
？？「人魚姫はね、愛する人のために泡になったのよ」
パチンッ
泡が弾けたような音と共に、我に返る。
目の前には怪訝そうにこちらを見つめるアズール先輩。
腹は決まった。
私は私のやりたいように。
そうだよね、
玻璃「アズール先輩。
愛海を助ける方法が分かりました」
アズール「本当に、分かったんですか？」
何度目か分からない先輩の質問。
しかし、詳しく教えることは出来ない。
教えたら、きっと背負わせてしまうから。
玻璃「分かりました、けど詳しくは話せません。
私のことを信じてください。」
なんなら契約でもします？とおどけてみせると
貴女という人は！と怒られてしまった。
アズール「まったく、そこまで言うなら託しましょう。
ただし、失敗したら許しませんからね。」
大きなため息の後、開かれた金庫。
ペンダントを取ろうとのぞきこんだその時。
アズール「な、、、ない、、、ペンダントが、ない！」
そこにあったのは、大量の契約書のみ。
どこを探してもペンダントは出てこない。
アズール「あ、、あぁ、、、僕は、どうしたら、、。」
真っ青になってガタガタと震える先輩の肩に手を置いて
落ち着いてください、と声をかける。
玻璃「ペンダントの在処は目処がついてますから。」
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作者名：楪 | 作成日時：2022年4月30日 13時
