真実の愛は海の底に (ページ17)

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15話ページ17

玻璃「失礼します。」

通されたのはオクタヴィネルのVIPルーム。
そこに愛海の姿はない。

玻璃「どういうつもりですか、、、アズール先輩。」

後ろ手にドアを閉めた先輩を睨みつけると
彼は疲れたような顔でこちらを向いた。

アズール「睨まないでくださいよ、監督生さん。
僕だって困っているんですから。」

ヤレヤレと肩を落とす先輩の襟を掴んで
引き寄せる。

玻璃「無駄なお喋りをする時間はありません。
愛海に、会わせて下さい。」

前置きもせず本題を伝えると意外そうに
彼の瞳が見開かれた。

アズール「これは驚きましたね。いつも冷静な貴女が
珍しい。」

それと、愛海さんには会えませんよ。
というか、会っても意味がないと思います。

そう続けられた彼の言葉。
理解が追いつかない私をソファに座らせ
説明を始めた。

アズール「まず、愛海さんに会っても満足に
話はできません。
彼女は、声を奪われていますから。」

声を、奪われる。

どこか聞き覚えのある言葉を考えつつも
先を促すとアズール先輩が頷いた。

アズール「そして、真実の愛を証明できなければ
3日以内に、彼女は息絶えるでしょう。」

分かっているのはこれだけです。
眉間を揉みつつそう伝える先輩を見て
きっと色々な文献を調べてくれたのだろうと察する。

しかし、アズール先輩の能力を持ってしても
得られた情報はたったこれだけ。

正直、曖昧すぎる。

玻璃「真実の愛を証明って、、、
ペンダントの前でキスでもすればいいんですか。」

そう問うと、アズール先輩は
もう試しましたよ、とため息をついた。

アズール「今はペンダントはこの金庫の中に
厳重に保管してあります。
なにか有効な手立てが見つかるまでに盗まれては
困りますから。」

玻璃「ペンダントを壊すことは出来ないんですか？」

厳重に保管、という言葉を聞いて
ぱっと閃いたアイデア。

しかし、それもどうやら実験済みらしい。

アズール「レオナさんやマレウスさんにも
頼んだんですけどね。」

先輩の言葉にペンダントの破壊は無理だと察する。
マレウス先輩に壊せなかったものを
私達がどうにかしようなど、到底無理な話だろう。

大体、真実の愛なんて誰から誰に向けられた愛なのかも
明記されていないし、どう証明するかも分からない。

玻璃「詰んでますね。」

至った結論は詰み。
それは目の前の彼も同じだろう。