3話. ページ5
『た、退学になってしまうのでしょうか………っ』
｢そんなに緊張しなくていい。こんなことで退学になんて、なるわけ無いのさ。｣
良かった………。
焦りと不安が一旦落ち着くと、
校長の事が気になりはじめた。
可愛い。
………新種のハムスター？鼠？
『校長は何の動物ですか？』
たまらなくなって、私は聞いた。
｢校長室に入って二言目がそれか｣
校長が答えるかわりに
隣の小汚い担任が私をギロリと睨んで言う。
雄英の教師は皆プロヒーローだと聞くが、
こんなにくたびれたヒーローなんているのだろうか。
『すみません。でも気になって………』
｢……………｣
悪びれた様子がない私を見て、
担任は諦めたように黙ってしまった。
｢…………時間の無駄だ。合理性に欠ける。唯和、俺は担任の相澤 消太だ。クラスの連中は今から体力テストを行う。これに着替えたら外に来い。｣
『はい』
結局、校長の謎は解けなかった。
でもこれ以上は
相澤先生に怒られそうだから、
私は1度しっかりと頭を下げて
校長室を出た。
・・
｢校長、どう思います｣
｢うーん。書類でも、唯和さんは不明な点が多かったのさ。怪しんでいるわけではないが、一応、よく見ておいてくれ｣
｢はい。……唯和の個性は消滅…。馬鹿力だとしても扉はあり得ない壊れ方をしていました。跡形もなく、散り散りです｣
｢体格も通常………何故あそこまでのパワーが出せるのか………。
ここ最近、ちらほらと起きている消失事件…………気になるところだね｣
｢はい｣
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作者名：めも | 作成日時：2020年8月11日 22時
