君の前では詐欺師すら ページ6
ある日、俺は本当の感情を知った。
＿ねぇ、Aさんは詐欺師のことをどう思います？
人を騙す悪ーいやつだと思いますか？
嘘を騙って金を騙し取る悪ーいやつだと思いますか？
たとえ、その詐欺という行為になにか理由があったとしても？
たとえ、その自分を守る為の行為が自分を傷つけて殺しても？
「なァんて、ダサい身の上話でしたね！」
俺は、今日出会ったばかりのAに愚痴を洩らしていた。
と、言っても綺麗な太陽のような彼女に笑顔でどす黒い愚痴を洩らす俺。変な状況やな。
「でもな、俺だって詐欺師になりたくてなったわけじゃないねん。
自分を敵意から守ろうとして作った笑顔が剥がれなくなってもうただけやねん。
そないないらんこと繰り返してたら好意は生まれる。
けど、ああコイツが好きなんは表の俺なんやな、って思うたびに、傷つかんために笑顔を作んねん。」
いつか敬語さえ外れて、言葉の端々に涙由来の嗚咽が混じる。
でも笑顔だけは剥がれなくて、自分が異常であることを再度深く感じた。
その狂った俺を優しく受け止めてくれるAもAなんやけど、誰にでもこんなことしとるんかなとか思ってまうから気持ち悪い。ああ、俺のことがな？
この笑顔の仮面を被る醜い詐欺師が、世界を暖かい炎と共に見守る太陽のような彼女と共にいるなんぞ認められるわけがないのに、心の奥深くではそれを欲している。なんなら、共にいることが当たり前とさえ思う俺もどこかにいる。
ああ気持ち悪い気持ち悪い。
こんな俺なんて消えればええねん。
こんな状況でも笑顔を外されへん俺なんか死ねばええねん。
でも、Aと一緒におられへんのは…
や、俺の生死を定めるのは太陽であるAや。
Aに死ねなんて言われてへんもん。
でも、Aが俺に死ねなんて言うたら俺は簡単に死ぬからな。
そこんとこ、お大事に！
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作者名：レインコート | 作成日時：2024年2月18日 18時
