愛しくてしょうがない様 ページ5
ある日、俺は理解者の存在を知った。
＿俺は、昔から怖がられていた。
いつの日か流された嫌な噂。
不良だとか言われてずッと避けられとった。
友達もできんくてずっと寂しかった。
そりゃ、変わろうとしなかった俺だって少なからず悪いんやろ。
だけど、バレへんくらいに上手く騙られとったら反抗もできへんワケやん。
「なァ、Aはこのことどう思う？」
どうも思わない。そう、薄い唇をやわこく動かしてAは答えた。
その姿にもその返答にも、俺の胸は高鳴った。
そら、どうも思わんってことは俺を不良だとも思わんってことやん。
Aは、俺の中身だけを見てくれる。そーゆー事やんな？
この一瞬で生まれた想いは成長をとどめる事を知らずに、勢いでAに抱きついてもうた。
だけど抱きついてからなんだか悪い気がしてきてすぐにAからは離れた。
ちょっと名残惜しかったけどな。
でもな、離れてAん顔見たらりんごみたいに赤うなってんよ！
普段ッから無表情の日本人形みたいなAが俺のために、俺のせいで顔の筋肉使うとるって思ったら段々俺までアツくなって来た。
多分、その時の俺の顔面もAとお揃いの赤。
空気を変えるためにAにも質問をいっぱいした。
好きな食べ物は？
どこの食い物屋が好きなん？
なんて、ほとんどあしらわれてもうたけど。
ああやけど、一個だけいい事を知った。
Aは、幽霊らしい。
それも、この公園に存在を囚われる地縛霊。
死因も殺した奴も教えてくれんかったけど、もしもAを手にかけた奴がおるんやったら俺はそいつを醜く殺す。
その殺意に、俺はAへの想いに気づいた。
俺、Aのことが好きなんかな？
恋というにはあんまり歪みすぎている。
せや、一度知り合いに教えてもらった言葉。
アイオクキューウ、やったかな。
愛しくて愛しくてどうしようもない。
俺は君へ、愛屋窮烏。
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作者名：レインコート | 作成日時：2024年2月18日 18時
