君はお化け ページ1
ある日、親以外からも愛を欲する事を知った。
＿毎日のように親から振るわれる暴力に暴言。
そら、しんどくてしんどくて死にたくもなるねん。
いつも家にいると殴られるから出るはずが無かった涙を流してふらふらと街を彷徨う。
そんな時、Aに出会った。
錆びた鉄製のベンチに腰掛けていたA。
やわこそうな手先。
涙なんか引っ込んで、一瞬で俺はAに魅せられた。
「なァ、突然やけど俺の話聞いてくれん？」
なんだかわからんけど話を聞いてもらいたくなって、俺は洗いざらい経緯を話した。
「Aは、親からの愛を知っとるか？
俺は知らん。親は俺をサンドバックとして扱った。ひたすら暴力が愛だとか言われながらな。
俺は簡単に愛を騙る人間が大ッ嫌いや。もうあの親共が騙る愛を受けたないねん。
Aは、虚像の愛なんか騙るわけないもんな？」
引っ込んだはずの涙もAん前では収まることを知らんかった。
やのに、Aは俺を面倒くさがらずに優しく頷きながら話を聞いてくれる。
愛を知らん俺が、Aの優しさに溺れるのも一瞬やった。
Aと話すたびに振動を早める心臓は今にもはち切れそうや。
辛い感情もAの前では一瞬で溶けゆく。
死にたいとかはもう思わん。生きている限りAとおられるんやから。
俺もAのことを知りたくなってAのことをいっぱい聞いた。
少ししか答えてくれんかったけど。
Aによると、Aは幽霊らしい。
そら、すぐに納得もできたわ。
あの綺麗さはこの世のものなんかやない。
それと、どうやらAにも親がおらんらしい。
意味は違えど同じ境遇に心臓が高鳴る。
ああ、どないしたらAを俺のもんにできるんやろ。
病んだ俺は、狂った愛情を知った。
たとえ、Aが俺のことを好いてくれんくても。
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作者名：レインコート | 作成日時：2024年2月18日 18時
