からかい上手なワカくん (ページ3)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:10,473 hit

中一ページ3

，

わたしは中学1年生の時、彼等に出会った。

「お兄ちゃんの、お友達、、、?」

「あぁ、そうだ」

確か、きっかけは真一郎くんが私が兄用に作ったお弁当を羨ましがったからだったっけ。

俺も女子の料理食いたいー。と言った会話から流れでうちに食べにくるかとなったらしかった。

私は当時かなりの人見知りでましてや不良だなんて上手く対応出来る自信がなかった。正直兄以外の不良は苦手だったのもあって。

まだ料理も未熟でそこまで上手くなかったから正直不安だったけど、お兄ちゃんが

「A、アイツらは確かに不良だが良い奴らだ。お前が不安に思うような事は絶対しねぇよ。俺が保証する。」

「自慢の妹を悲しませるようなやつ、ウチにはいねぇ」

私の頭をぐしゃぐしゃと大きな手の平で撫でて、誇らしげに笑うものだから単純に、兄にこんな顔をさせられる人達に興味を持った。

そうして、了承した私を嬉しそうに見た兄は次の日3人のお友達を引き連れて帰ってきた。

どう見てもイカつくて、かなり怖かったし今すぐにでも逃げ出したかったけど

兄の言葉を思い出して、ぎゅっと汗ばむ手を強く握って、恐る恐る顔を上げる。

『は、じめまして…妹のA、です。』

我ながら、声も震えていて、冷や汗もダラダラな酷く格好の悪い挨拶だったと思う。だけど顔に長い傷のある男の子、武臣くんが笑いながら話しかけてくれたから、緊張は少し解けた。

武臣くんが、そのまま隣に居た男の子、真一郎くんに声をかけたけど、あの時彼はずっとりんごのような顔で固まっていた。

後から聞けば、あまりにも私の顔が兄と似つかず綺麗だったから恥ずかしくなってしまったらしい。

当時の私は、単純に何か不快な思いをさせて怒らせてしまったのではないかと気が気じゃなかった。

不安が脳内を占める中、次の言葉で私のそんな考えは消し飛んだ。

「かわいい」

かすれた、低い声。吐息が混じり、零れ落ちるかのように呟かれたその言葉は私に効果的面だった。

ふわふわのシルバーヘアの無愛想な男の子に、私はその時から振り回されっぱなしだ。

「あー、そういやそんな事もあったな」

「今は、かわいくはない」

『え"』

「どちらかと言うとかわいいよりも、綺麗になった。」

ニヒルな笑みを浮かべながらそう言うワカくんは本当にからかい上手。