アズカバンの囚人、ホグワーツにて生徒やってます。【ハリポタ】 (ページ7)

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その囚人、9.3/4番線。ページ7

時はAfternoon tea time

そろそろホグワーツへ向かわないと、スネイプ先生が怒るだろう。

キングス・クロス駅は、がらんとしていた。

通勤ラッシュを上手く避けられる時間帯だったようだ。

ホグワーツに通っていた頃を思い出す。

魔法に溢れる世界の入口がどんなものか、当時はそればかり気になっていた。

杖とキップとスネイプ先生から借りた金くらいしか手持ちのない俺は、体一つで壁を通り抜けた。

丁度のところで、列車が来た。

これもまた空いた席が並んでいた。

真ん中の席に座り、窓から移り行く景色を見ていた。

『はぁ……自分のために金使ったの何時ぶりだよ…ははっw』

なんて、誰にも聞こえないだろうと呟いた一言。

しかし、次の瞬間、空模様が怪しくなり空気が凍った。

『…ディメンター？』

目の前には黒いキス魔。

つい最近まで俺とキスしていた生命体で、こいつらのキスは慣れた。あまり上手くない。

『もう少し上手くなってから来いよ。
俺で良ければ、少しなら相手するよ？』

買ったばかりの杖を使おうともせず、俺は無意識の内にディメンターに向かって両手を広げていた。

慈愛に満ちた顔だったろうが、囚人の俺はすぐさま魂を貪られる。

苦しいとか、冷たいとか、そういったものを通り越してディメンターの唇って温かいのを知っている。

ディメンターが好きなわけではないが、嫌いでもない。

『ん……んっ……………んく……っ……………』

だか、ディメンターはキスが下手だ。

どうせやるなら、極めて来い。

無抵抗に口吸いを受けていると、席の扉が勢い良く開けられた。

ｾﾌﾞ「Expecto patronum」

光を放ち、消されたキス魔を眺めた。

ぼんやりとした意識の中、スネイプ先生が見えた。

『スネイプ先生…？
なんでここに…いるの？』

頭がぼや～っとして、夢心地。

ｾﾌﾞ「少しは抵抗しろ。
杖は買ったのだろう」

『ん、……そーだね…
気が向いたらね………』

列車に揺られて、意識が沈降していく。

目を閉じると、少しの温もりを感じた。