アズカバンの囚人、ホグワーツにて生徒やってます。【ハリポタ】 (ページ17)

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その囚人、虚ろ。ページ17

見慣れない天井と室内が月明かりに照らされる。

フカフカとは言いがたいベッドに寝かせられ、俺は隣で寝ているスネイプ先生の髪を撫でた。

見た目はベタベタしてそうなのに、結構サラサラで艶やかだった。

『…おぉ～！』

思わず驚嘆の声を上げてしまった。

俺はそのまま天井を眺めて思い返す。

今日ほぼ一日、スネイプ先生と関わってみて気づいた事があったことを。

スネイプ先生は、かなり不器用な人だ。

初対面の時から器用な方だとは思えなかったけど、社会で生きるには厳しいくらいの不器用さ。

俺から見たら図体がデカイだけのガキだけど、一生懸命に思いを伝えようとするスネイプ先生。

少し幼さと拙ささえ感じる。

加えて安心しきらない寝顔。眉間に皺を寄せて、俺の腰をしっかりホールドする腕。

『……ははｗ…可愛いなぁ…まったく…
こんなに甘えられたら…妹に会いたく…なくなっちゃうよ……』

俺はまだ掠れている声もだいぶマシになったな、と思った。

独り言を呟きながら、スネイプ先生の寝顔を見るたびにニヤけてしまう。

一時の幸せ…か。

歳が開けたら俺はアズカバンへ戻され、1月下旬には死亡らしい。

そう思うと、少しだけ気が楽になる。

最後の1年間を愛おしい人と仕事しながら楽しく過ごせるなんて、囚人には有り得ないことだ。

それを今、実現されてしまっている。

このまま逃げて年寄りになるまでコソコソと生きようなんて、取るに足らない選択だ。

一時の幸せか、一生の焦燥か…誰だって選ぶ答えは決まっている。

ｾﾌﾞ「…なんなのだ、この手は。」

俺が思いに耽っている間に、スネイプ先生は目を覚ましていた。

スネイプ先生に掴まれた腕が力なく垂れる。

『なんだろうね、この腕は。』

俺は腰に回されたスネイプ先生の腕を指摘した。

ｾﾌﾞ「お前が勝手に彷徨かないように、拘束しているのだ。」

そんなことはしない。心外だな…。

より強く腰に回された腕に、酷く安心するんだ。

スネイプ先生は若干照れながら、俺を強く引き寄せた。

痛いくらいに密着した躯が脈打つたびに振動する。

『そーかいｗ…。
ガキのくせに男前だなぁｗ…』

ｾﾌﾞ「黙れ、オッサン。」

『オッサンを労ろうな？
てか、2年しか年取ってないからね…(泣)』

ｾﾌﾞ「明日は、…学校が休みなんだが…」

スネイプ先生はムードも無い状況でデートに誘おうとする。

やっぱり、致命的な不器用さだと思うんだが。